ブルックリンで「難民歓迎」? NYに広がる 助け合いの輪

 ブルックリン区クラウンハイツのある通りを歩くと、カフェやデリなどのウィンドウにぽつぽつと貼られている、あるポスターが目に入る。それには小さな子どもを抱きかかえた男性がじっとこちらを見つめているイラストで、「REFUGEES ARE WELCOME HERE(難民歓迎)」と書かれている。
 このポスターは、カリフォルニア州を拠点に平和運動を行う非営利団体、ジューイッシュ・フォー・ピースが、イスラム教徒への嫌悪感やシリア難民排斥思想に異を唱えることを目的に、グラフィックアーティストのミカ・ビザンツさんに依頼して作成した啓発ポスターだ。同団体は全米でこの運動を展開しており、ワシントンD.C.やオレゴン州など、他州でも普及しているが、市内ではこのポスターをブルックリン区とマンハッタン区の各所に掲示したところ、ブルックリンで活動する非営利団体、フォート・グリーン・ピースの目に留まり、同団体が区内にポスターを広めるようになったという。フォート・グリーン・ピースの代表はこれについて、「多くの小売店のオーナーが、『困っている人がいれば、国や人種に関わらず手を差し伸べるべきだ』と難民受け入れに賛同してくれた」と地元メディアに話している。
 現在では、同区フォートグリーン、ベッドフォード・スタイブサント、クリントンヒルなどで見受けられる。クラウンハイツのカフェの入り口にもこのポスターが目立つところに貼られている。店員にこのポスターについて尋ねてみたところ、「良い取り組みだと思うし、この通りにも同じポスターを貼っている店は多いわよ」と話した。
 国際移住機構(IOM)によると、シリアからは昨年だけで約500万人が難民として国を離れ、このうち2192人が米国に渡った。ニューヨーク州へは昨年は52人、ことしも既に37人が移住している。ニューヨークのビル・デ・ブラシオ市長もシリアからの難民受け入れを支持している今、既に多くのニューヨーカーも、手を差し伸べる準備はできているようだ。

クラウンハイツのカフェのウィンドウに貼られたポスター(Photo: Daily Sun)