超希少難病の少年「奇跡の回復」 全米初の治験成功、昨年末認可

 【5日付ニューヨーク・デイリー・ニュース】罹患者は全世界でわずか150人という極めてまれな難病にかかった少年が米国初の実験的治療を受け、「奇跡的に回復」している。
 この少年はクイーンズ区出身のマシュー・エバンジェリスタ君(16)。2歳のときにムコ多糖代謝異常症・タイプVII(スライ症候群)と診断され、以降、ロングアイランドのベイサイドにあるセント・マリーズ・ホスピタル・フォー・チルドレンに入院中だ。
 同症候群は遺伝的要因による先天的代謝異常で、骨の奇形、知能障害、心臓や肝臓、肺、脾臓の機能低下によりほとんどの場合は生後すぐに死亡する。生きながらえることができても平均寿命は18歳から25歳までとされる。
 マシュー君が受けている治療は新薬Mepseviiを使った酵素補充療法。同病院は2013年、重体に陥ったマシュー君のために米食品医薬局(FDA)から同薬の緊急投与の許可を取得、同年10月から投与を始めた。すると、3日後には萎縮した内臓が正常な大きさに戻り、1カ月で容体が安定。現在では頭や手を動かせるほどまで回復している。
 Mepseviiは希少疾患の治療薬に特化したカリフォルニア州ノバト市のバイオ医薬品会社、ウルトラジェニックス(Ultragenyx)ファーマシューティカルが開発。
 FDAは昨年11月、同薬をムコ多糖代謝異常症・タイプVIIの治療薬として初めて承認。適応は、小児および成人。