深刻な児童虐待、過去最多 兆候により敏感に

 【9日付ニューヨークポスト】ニューヨーク市児童保護局(ACS)は10日、ACS内で深刻な児童虐待を扱う即時対応班(IRT)が扱った件数は、昨年7月から今年6月までに5792件に上ったと発表した。前年同時期より10.4%増えており、IRTが20年前に結成されて以来、最多となった。
 ACSによると、5792件の中には18歳未満の子どもの死亡104件の他、性的虐待や暴行が多数含まれている。
 ACSのデイビッド・ハンセル局長は「(われわれの活動は)児童福祉が目的だが、犯罪調査の側面もある。市警察(NYPD)との連携が肝要」と話す。IRTでは、NYPDの他、地区検事局とも協力関係を構築している。
 ACSは、教師や近隣住民など周りの大人が虐待の兆候により敏感になり報告が増えていることが件数増加につながったと分析。NYPD性犯罪特捜班(SVU)出身、IRTのスーザン・モーレイ共同責任者は、教師などが子どもの目の周りにあざがあることを見つけても、母親が「転んでできた」と言えば、以前は通報しなかったと指摘。「凶悪な虐待事件の報道などが注意喚起につながっている」と話した。
 ハンセル局長は、件数の増加が、児童保護行政に対する信頼が徐々に回復していることの表れでもあるとし、過去の不手際を繰り返さないよう最善の努力を続けると約束している。

ACSの公式ウェブサイトより