非常事態宣言の阻止求め16州提訴 「資金を違法に流用する試み」

 メキシコ国境の壁建設費用を確保するためにトランプ大統領が15日に発令した国家非常事態宣言は権力の乱用だとして、ニューヨーク州は18日、カリフォルニア州など15州とともに、宣言の執行停止を求めてカリフォルニア北部地区連邦地裁に提訴した。
 他に訴えたのは、コロラド、コネティカット、デラウェア、ハワイ、イリノイ、メーン、メリーランド、ミシガン、ミネソタ、ネバダ、ニュージャージー、ニューメキシコ、オレゴン、バージニアの各州。
 ニューヨーク州の発表によると、訴えでは今回の宣言発令は、適切な目的のために確保された予算を議会の承認を得ないまま壁建設費用に転用するための試みと指摘。違憲かつ違法だとして、宣言の撤回と、この費用を使った壁建設の阻止を求めている。レティシア・ジェームズ司法長官は声明で、宣言について「実際の緊急事態や犯罪対策、軍の予算から資金を流用する試み」と非難。「議会の権力が奪われ、全国民を傷つけることになる」と述べた。
 自由人権協会(ACLU)などの人権団体や市民団体などが既に相次いで同様の提訴に踏み切っている。いずれの訴訟も、トランプ氏が議会を通さずに、壁建設費を確保する目的で出した非常事態宣言を阻止することが争点。
 米主要メディアによると、国家非常事態宣言は、大統領が満了日の90日前までに更新しなければ1年間で解除となる。議会は半年ごとに非常事態宣言を解除するための両院合同決議を進めるかにつき検討することができる。1978年から2018年の間、58件の国家非常事態宣言が発令されたが、このうち31件は現在も有効であるという。