自転車の死亡事故多発、背景には 地元議員「人種や階級差別の現れ」

 ブルックリン区ブラウンズビルの交差点で先月末、自転車が車にはねられ、自転車に乗っていたアーネスト・アスキューさん(57)が死亡した。今月1日にも同区ブッシュウィックで同様の死亡事故が起き、ニューヨーク市内で交通事故により死亡したサイクリストは今年、既に15人に達している。アスキューさんを追悼する集会が1日、現場近くで開かれ、「自転車死亡事故が頻発する背景には人種や階級の問題が存在する」との声が上がった。地元ニュースサイト、ゴッサミストが2日、報じた。
 記事によると集会では、交通事故で死亡したサイクリストの名前が読み上げられた。アスキューさんの兄、メルビンさん(62)は「危ないから自転車に乗るなと言ったのに」と声をつまらせた。アスキューさんをはねた車に乗っていたのは18歳の少年。報道によると市警察(NYPD)は少年に召喚状を発行しなかった。
 同区中部選出のゼルノー・マイリー州上院議員(民主)は「最寄りの地下鉄駅にはエレベーターがなく、バスも依然としてディーゼルエンジンだ。進んで利用する公共交通手段がないことから、自転車に乗らざるを得ない状況」と指摘。「交通網の改良が進まないのは、人種や階級への根強い差別の現れ」と語った。

マンハッタン区6番街で6月24日、トラックにひかれて死亡したサイクリストを追悼する記念碑(photo: Asami Kato / 本紙)