中古車輸出業界が苦境に トランプ政権、制裁姿勢エスカレート


 米国土安全保障省(DOS)は今月5日、身元が確かとされる旅行者の入国審査を円滑にするグローバルエントリーを含む「トラステッドトラベラー制度(TTP)」の対象からニューヨーク州民を除外すると発表した。同時に州で登録された中古車両の輸出手続きを遅らせる規制も発令。聖域都市に対するトランプ政権による制裁が、州内の旅行者のみならず中古車輸出業界にも打撃を与えている。ニューヨークタイムズが20日、報じた。
 自動車販売会社、競売会社、輸出業者、貨物運送業者、船舶会社が関わる中古車輸出業界はニューヨーク州の中でも活発な産業の1つ。周辺の港からは月に数回、中古車が船でカリブ海沿岸の国々や西アフリカ、中東諸国に輸出されている。規制により、中古車が荷積みされた船は港で足止めされ、コンテナは降ろされ、中古車は車庫に戻される状態だ。影響は中古車にとどまらず、海外のコレクターが購入したクラシックカーや自国でマイカーを運転するために輸出を希望する一般の人たちにも及んでいる。
 ブルックリン区の輸出会社レッドフックシッピングは、災害からの復興が遅れるハイチ共和国に送る救援物資を中古車に積み輸出している。同社の社長、ルイス・スパーノさんはコンテナターミナルで8万ドル相当の救援車を船に積む作業中に規制の発令を聞かされた。同区に数百台の車両を留め置いたままにしなければならないというスパーノさんは「(現政権は)ニューヨークを狙い撃ちにしている」と怒る。
 TTPの対象除外についてDOSは、ニューヨーク州が、不法移民にも運転免許証を発行するグリーンライト法を制定したことと、連邦政府による同州運輸局の記録照会を禁止していることを受けての対応と説明している。

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