血清療法を試験的に導入 新型コロナ回復患者の抗体から

 ニューヨーク州は、新型コロナウイルスに感染して回復した人の血液中の血漿(けっしょう)を、他の患者に投与して免疫機能を強化し、症状を緩和する「血清療法」を試験的に導入する。呼吸困難を伴う入院患者が対象。ニューヨークタイムズが26日、報じた。
 回復患者の抗体や血液を使用する治療方法はこれまで、エボラ出血熱や季節性インフルエンザなど、感染症の治療で長年行われてきた。
 マンハッタン区マウントサイナイ病院の医師、デービッド・ライヒさんは、同治療法について「実際に試すまでは新型コロナウイルスにどれほど効果があるかを科学的に知るのは難しい」と話す。米食品医薬品局(FDA)は24日、緊急時に限り試験的に同治療法の実施を認める方針を発表している。
 血漿の提供者の条件は、新型コロナウイルスに感染し、回復後、14日間無症状で、再検査で陰性になった人。同ウイルスと戦う抗体価が高いかなど、厳格な基準の下、注意深く選別される。
 ライヒさんによると、試験的導入が開始されても、検査器具が不足しているため、基準を満たす提供者が少ない可能性があるという。