飯島真由美 弁護士 Legal Cafe Vol.39 民事の時効について

 8月に、日本人男性がニューヨーク出張中に部下をレイプした事件で有罪になり、7年半の実刑の判決を受けました。こういった場合、刑事とは別に民事で加害者を訴えることができますが、時効が過ぎる前に申し立てる必要があります。

今回はニューヨーク州の民事の時効について簡単に説明します。
 時効の成立期間は訴える内容によって異なります。

・同意なしに触られる不快な行為(Battery)1年。前述のレイプのような場合に適応される
・障害(事故によるけがなど)(Personal Injury)3年
・医療過誤(Medical Malpractice) 2年6カ月
・不法な死(Wrongful Death)2年。殺人を犯した加害者に対して、また事故で死者が出た場合に適応される

 他に主な時効については以下があります。

・契約違反(契約書なしでも成立)6年
・負債の取り立て 6年
・詐欺 6年

・名誉棄損(Defamation)1年。インターネット掲載記事の場合も書かれた日から計算する。ニューヨークでの名誉棄損の基準は日本より厳しいので注意
・故意に精神的苦痛を与える行為(intentional infliction of emotional distress)1年
・裁判所の判決(Judgment)20年
 また、職場での不法行為にも時効があり、人種や国籍による差別、セクシャルハラスメント、また障害による差別などは、雇用機会均等委員会(EEOC)に対し、最後に不法行為があってから300日以内に申し立てなければなりません。しかし、ニューヨーク州とニューヨーク市では不法な差別に関しては別の法律があり、時効は3年と長くなっています。また残業代などの申し立ての時効は6年です。
 時効には例外もありますが、ほとんどのケースは時効が過ぎると申し立てが却下されるのでご注意ください。なお時効の長さは州によって異なります。
 ※時効の詳細は複雑です。まずは専門家にご相談ください。また、刑事の場合は時効期間が異なります。

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NY州認定弁護士。法政大学文学部、NY市立大学ロースクール卒業。みずほ銀行コンプライアンス部門を経て独立。2010年に飯島真由美弁護士事務所を設立。家庭法、訴訟法、移民法など幅広い分野で活躍中。趣味はカフェ巡り。

     
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