邦人留学生交通死亡事故 未だに聴取なし

 2013年2月に日本人留学生、小山田亮さん(当時24)がNYPDのパトカーにひかれて死亡した事故で、12月現在ニューヨーク州の車両関連部署(DMV)が必要な聴取を行なっていないことが分かった。
 小山田さんがクイーンズ区でダレン・イラルディー巡査が運転するパトカーにはねられ死亡した際、事故直前に無灯火のパトカーが通過するのが監視カメラに写っており、緊急事態に対応中で現場に急行するためにスピードを出す必要があり、赤色灯は事故前より点けていたという警察の証言とに食い違いが生じており、小山田さんの遺族は市を訴えていた。
 DMVは交通死亡事故が起きた場合、危険運転致死傷罪にあたる運転か、またその運転者が今後も免許を保持すべきかを調査する義務がある。イラルディー巡査が赤色灯を点けず猛スピードで走行していたことは危険運転にあたるもの。州が聴取開始までに定めているのは1年だが、事故よりおよそ2年になる今もDMVは聴取の見通しすら立てていない。
 米各メディアによると、遺族らはこの事故には警察の隠ぺいがあるのではと主張してきた。イラルディー巡査が以前にも危険運転の可能性があったとして、遺族の代理人弁護士スティーブ・バッカロ氏は警察官を含む市の職員の記録を管理する州裁判所に情報開示請求をしているという。
 バッカロ氏は、「危険運転をしている可能性のある人間が免許を保持したままで何の咎めもなしに運転できるのはおかしい。加害者が警察官だからではないか」とらちが明かないことに市への不信感を募らせる遺族の気持ちを代弁する。
 これに対しDMVは、個別ケースの聴取が始まっていない理由は明確にしなかったものの、「事故の加害者が誰であっても、平等に聴取は行なっている」と述べている。