ネットでマスターキーを販売 主要施設の安全脅かされる

エンパイアステートビルや世界貿易センター跡地に建設中のビル内へ出入りできる「マスターキー」が、競売サイトeBayに出品されていたとして話題になっている。

 米紙ニューヨークポストの伝えによると、ニュージャージー州在住の元鍵屋、ダニエル・ファラレスさん(69歳)は、過去30年にわたりこれらのマスターキーを収集し、2005年よりインターネット上で販売していた。同誌の記者に市の重要施設へ出入りできる鍵5本セットを150ドルで販売したことから、一連のやり取りが発覚した。

 マスターキーのセットを手に入れれば、市内のあらゆる地下鉄、消防署、ビルのエレベーターにアクセスすることができる。ファラレスさんは、これらの鍵の収集元について明言を避けているが、数年前から収集家より買い取っていた可能性が高い。

 市政監督官のビル・デ・ブラシオ氏は「これらのマスターキーが市場に出回っているということは、市民の命を危険にさらしていることと同じ。対テロ政策に費やした何十億ドルという費用が無駄になる」と苦言した。また、公共安全委員会の委員長ピーター・バローネ・ジュニア氏は、マスターキーの所有、販売や複製を禁止し、違法者には最長一年の禁固刑を課す内容を含んだ法律改正案の必要性を公言した。

 現在の法律では、市の職員が退職もしくは離職した場合、マスターキーを市に戻す義務が定められていないため、ファラレスさんが起訴される可能性は低い。