第22回 「Muk Eun Ji」

これが本場韓国の〝熟成キムチ〟

 ピリ辛なだけじゃなく、深いコクを併せ持つ—。今や日本人にも定着し、その魅力に〝ハマる〟人も続出するキムチを多く使った韓国料理。ニューヨークおよびニュージャージー界隈にも韓国料理を提供するレストランはいくつもあるが、これほどまでに「キムチにこだわり、キムチがおいしい店」はないのではなかろうか。

 ネオンひしめくマンハッタン区はコリアンタウンに位置する「ムグンジ(Muk Eun Ji)」では、ビビンバやチゲなど韓国料理の定番メニューも良いのだが、まずはとにかく〝熟成キムチ〟を試していただきたい。
 
「おそらく日本人のみなさんが普段口にしているのは非発酵タイプの浅漬けキムチだと思いますが、韓国伝統の味と言えば、長期間じっくり寝かせたこの熟成タイプのキムチのこと。実はうちの店名は、韓国語で〝熟成キムチ〟という意味なんです。それほどまでに、キムチに関しては強いこだわりを持っています」
 そう話すのは、同店オーナーのヨンさん。もともとキムチは冷蔵庫など文明が栄える以前に韓国で編み出された保存食。瓶の中でじっくり発酵させることで、野菜本来の旨味と薬味が調和し、深い味わいを生み出すのだとか。「浅漬けタイプより酸味が強いので、豚肉と一緒に焼いたり、煮込んだりすると美味しさ倍増ですよ」と教えてくれた。

 特に同店の看板メニューである「サムギョプサル(19.99ドル)」は、サイドオーダーできる「ムグンジ(3・99ドル)」と一緒に焼いて食べると絶品。豚肉からしたたる甘い肉汁とキムチの酸味が食欲をそそり、白米またはビールが驚くほど進んでしまう。

脂ののったジューシーな豚肉とムグンジの相性は抜群

 また、特製の熟成キムチと豚の背骨肉を長時間かけて煮込んだ「Muk Eun Ji Deungppyeo Jjim(1人前14・99ドル:注文は2人分〜)」も、ここでしか味わえない美味。ピリ辛スープが身体を内側から温めてくれるため新陳代謝を促進してくれるだけでなく、コラーゲンもたっぷり含まれているので、女性には嬉しい美肌効果も期待できる。

 巷に多く出回っているキムチも良いが、この夏は本場〝熟成キムチ〟を使ったスタミナたっぷりの韓国料理はいかが? 韓国通を唱うなら、絶対に外せない名店がここにある。

(左)ムグンジと豚の背骨肉のスープ (右)厚切りの豚肉を豪快に焼いていく

Muk Eun Ji
プライス $$
NY店
34 W 32nd St(bet Broadway & 5th Ave), NYC
212-736-0099
24時間営業
NJ店
217 Broad Ave, Palisades Park, NJ
201-363-0600
毎日午前10時半〜翌午前1時