第38回 Hi-Collar(ハイカラ)

梅の季節をいとおしむ

大人だけが知っている〝旬〟の楽しみ方

 春を告げる花と言えば、〝桜〟を思い浮かべる人が多いだろうが、日本では遡ること奈良時代より、儚い命の中で慎ましく咲き誇る〝梅〟の季節(2月下旬〜3月)を愛でるという粋な風習がある。
 マンハッタン区イーストビレッジにあるカフェ&バー「Hi-Collar(ハイカラ)」では梅の季節にちなみ、現在「ハイカラ梅祭り」を開催している。見た目にも美しく、さまざまな料理との相性も良いこの梅を食材として使った特別コースを、28日までの期間限定で提供する。

「ハイカラ特上和州牛鍋赤みそ仕立て」

 「クエン酸を多く含む梅には、疲労回復や解毒の効果があると言われています」と教えてくれたのは、同店の柴田シェフ。またほのかな梅の香りは、料理を引き立てる役目もあり、とても魅力的な食材なのだとか。今回は、こんにゃくや大根、湯葉など、身体に優しく、デトックス効果のある食材と組み合わせることで、おいしくいただきながら、身体の芯からキレイになれるという一石二鳥な一品ばかりを揃えたという。

「京風引き上げ湯葉と梅生麩」(上)と「生湯葉とキノコの銀あん小丼」


 例えば、たたいた梅としそ、モッツァレラチーズを包んだ「ワンタンチーズ包み揚げ」は、口の中に広がる梅・しその香りとマイルドなチーズが絶妙の組み合わせだ。またおでんスタイルの「京湯葉と生麩」と「こんにゃくの柚子味噌」などは、ニューヨークに居ながらにして、まるで老舗京料理店に訪れたかのような気分を味わうことができる。
 メーンとなるのは、みじん切りにした梅を混ぜた特製赤味噌仕立ての「特上和州牛の鍋」。テーブル用の小さなすき焼き鍋に、脂ののった特上肉を自分好みの焼き加減でいただく。濃厚な赤味噌をたっぷり絡めた熱々を頬張れば、思わず「あぁ、幸せ」と心からの声が漏れてしまうことだろう。

 全10品のコース(38ドル)はボリュームもたっぷりだが、いずれも新鮮でヘルシーな食材ばかりを使用し、素材本来の味を引き立てるため薄味となっているので、食後も「食べ過ぎた!」という罪悪感ではなく、「心地よい満腹感」が得られるはず。今なら日本酒に詳しい藤田マネジャーが選んだ「梅酒テイスティングセット(30ドル)」も、併せて提供している。

 梅が咲き始める「節分」—季節の節目である2月は、昔から日本人にとっては邪気を払い、心身共に新しくスタートする大切な月として位置付けられている。この季節ならではの美味を心ゆくまで堪能し、新しい自分に巡り合いたい。

昼はカフェ、夜は日本酒バー
ふたつの顔を持つ大人の秘密基地

 大正ロマンを彷彿させるレトロな店内。インテリアに照明、グラスや皿—。どれをとってもセンスが光る洒落たものばかり。
 昼はサイフォンでいれた薫り豊かなコーヒーとともに、昔懐かしの喫茶店メニューで古き良き時代へと想いを馳せて。夜は豊富なセレクションの中からお気に入りの日本酒と、絶品おつまみに酔いしれて。

Hi-Collar
214 East 10th St,(bet 1st & 2nd Ave). New York
212-777-7018
www.hi-collar.com

■営業時間
ブレックファスト:10am〜11am
ランチ:11am〜4pm
アフタヌーンコーヒー:4pm〜6pm
バーサービス:7pm〜12am
定休日:火曜日