オバマ大統領の尽力により導入された医療保険制度改革(通称オバマケア)は、今月末に第1回の加入締め切りを迎える。この期限までに保険に加入しなかった場合、対象者には95ドル(または年収の1%)の罰金が科されることになるが、家賃の高騰が続くニューヨーク市では、保険料支払いの不安を理由に加入をためらう人々の声も聞かれる。
ニューヨーク州保健局保健課によれば、オバマケアを利用すると、保険料はこれまでのように保険会社から直接購入する場合と比べて平均53%安くなることが分かっている。とはいえ、同市では過去数年にわたって住宅費用の値上がりが続いており、特にこれまで保険に加入していなかった人にとっては、保険料の支払いによる出費は大きな負担となる。
また、フリーランスや契約社員といった収入の安定しない労働者にとって、毎月の固定出費が増えることは不安の種だ。マンハッタン区ハーレムに住むダンサーの男性は、「毎月、自分の収入がいくらになるかわからないので、オバマケアには加入せず罰金を払うつもり。保険がないのは怖いが、病気やけがをしないよう祈るしかない」と話す。また、契約社員として働く同区ヘルズキッチン在住の男性は、オバマケアの開始に向けて数カ月前から貯金をしてきたものの、「仕事を失っても保険料を払い続けなくてはならないのはつらい」と、加入に踏み切れない理由を明かす。
一方、ニューヨーク州全体でみると、23日現在で71万7207人が州の保険取引所(nystateofhealth.ny.gov)に登録して保険に加入しており、2016年までには州の目標である110万人以上が加入する見込みとなっている。さらに、保険プランはまだ選んでいないものの登録を済ませた人は33万8724人に上る。
またこれまでに登録した人のうち7割以上は、これまで保険に加入していなかった人であることも判明している。
州保健局の担当者は、「オバマケアに加入することで医療費が無料になるわけではないが、以前よりも質の高い保険プランに加入できるようになることは間違いない」として、第1回期限前の加入を促している。
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