クイーンズの若者、収入より使命感 ウォール街の仕事を辞め社会起業家へ転身

 クイーンズ区フラッシング出身のロバート・リーさん(24)は昨年夏、ウォール街の仕事を捨て、非営利団体「レスキューイング・レフトオーバー・キュイジーン」を仲間と設立した。
 同団体は設立したばかりだが、1500人に上るボランティアにより捨てられる運命にあった食料品計5万ポンドを回収し、寄付先から困窮した市民に届けている。
 このような団体はこれまでにも存在したが、“最低50ポンドの寄付”という条件付きだったため、中小規模の店舗は寄付を諦めざるを得なかった。しかし、リーさんはこうした制限を設けず、ボランティアらが中小店舗へも回収に行き、カートやバッグに入れた食料品を運んでいる。
 韓国系移民の子どもであるリーさんは、幼い頃から「食べ物を粗末にするな」と厳しく教えられ育った。食品の40%を廃棄する米国社会の現実を目の当たりにしたリーさんは、ニューヨーク大学の学生であった頃から、学生食堂で残った食料品をホームレスシェルターへ届ける学生組織を作り活動を行っていた。
 卒業後いったんはJPモルガン・チェース銀行へアナリストとして就職したものの、自らの信念を実際の活動で役立てたいと、同行から特別に「餞別助成金」を受け同団体を設立した。
 リーさんは年収は3万ドルほどに減ったものの「社会起業家になることが夢だったので後悔はまったくない」と話している。