ニューヨークに468ある地下鉄の駅。これらの駅〝すべて〟のプラットホームに設置されている「ポインティング・ボード」を知っているだろうか? プラットホームの上に吊るされて(または貼られて)いる白と黒のストライプの横長のボード。車掌がすべての停車駅で出発の前にこれを〝ポイント(指差し)〟することを知っている人は恐らく電車オタクくらいで、ほとんどの人は知らないはず。
電車が駅に入ってくる時、プラットホームには〝停車位置の許容範囲に収まっており、そこで止まらなくてはいけない〟という規定のスポットがある。もし停車位置を過ぎたり足りなかったりしたら、ドアを開けることが許されない。中ほどの車両で操縦をしている車掌が停車位置を知るためのガイドラインが、このポインティング・ボードであり、また〝安全を確認しています〟という証として、発車する前に必ずこれを指差す。このボードに関しては「Subway Conductors Point the Way to Safety」としてMTAのウェブサイトにも掲載されており、運転士たちの立派な仕事のひとつだ。
これに注目したヨセフ・ラーナーさんとローズ・サクターさんが制作した動画「The New York Subway Signs Experiment」が、指差しが欠かせない車掌たちを思わず笑わせる内容としてちょとした話題になっている。
動画では、「×××な人はこのボードをポイントして」と書かれた紙を持った女性がポインティング・ボードの真下で待機している。その×××の内容が「ヤバいくらいセクシーな人」、「裸の乗客を見たことがある人」、「ズボンをはいていない人」、「運転中にセルフィーを撮っている人」と、窓から顔を出した車掌たちが思わずぷぷっと笑ってしまうものばかり。車掌だけでなくそれを目にした乗客たちも次々にボードをポイントし笑い合う様子は、さすがはユーモアのセンスに富んだニューヨーカーといったところ。
電車を利用する際は、ぜひ注意して指差しを見てみては?何気ない行為も乗客の安全のためと知れば何となくうれしく感じるだろう。