Makikoメソッド

 食事、思考、身体の動きを正すことにより、心身一如の姿勢を目指すMakikoメソッド。創始者の岡牧子は、GAPS(腸と心の症候群)食事療法士として、自閉症の子どもの回復支援も行っている。岡の指導で、家族関係が良好になったクライアントが多いが、私もその一人。夫婦関係がどんどん良くなっている。岡に、家庭円満について聞いてみた。(インタビュー・文・写真 阿部里果)

家庭円満は正しい食事から

 家庭円満の秘訣を聞くと、岡からシンプルな答えが返って来た。「心のこもったおいしいご飯ですよ」。自然な食材で作る自家製の食事が、その必須条件だ。大切なのは、家庭が「滋養供給の場」であること。家族にイライラするのは、現代的な食事による栄養不足が大きな原因だという。まさに灯台下暗しなのだ。

栄養と腸内細菌バランスが重要

 「イライラする時、その原因は相手ではなく、必ず自分にあるのよ」と岡は言う。しかし、自分の中の原因を追求することが大切だと知っていても、実践するのはなかなか難しい。人間は十人十色で皆違って当たり前だと分かっていても、行動が伴わず、理解できない相手の言動に一喜一憂してしまう。その結果、「価値観の違い」が夫婦間の大きな問題となる。違いがあれば、お互い納得するまで話し合うことが重要だが、それにストレスを感じてしまう。
 そもそもなぜイライラするのか? 岡によれば、神経や脳の栄養バランスが悪く、自律神経がそれに反応し、身体が緊張状態になるからだそうだ。これが続くと、心身が疲れ、自分や相手と真剣に向き合う体力が無くなり、問題を解決できない。そしてますます料理をする気力が失せ、悪循環に陥っていく。
 「要するに、皆疲れているのよ。お父さんもお母さんも子どもも。つまり、栄養が不足しているってことなの。一日仕事をして帰って来るのだから、足らなくなって当たり前でしょう。でも現代的な食事では、それが補えない。特に脳と神経の機能に必要な良質のたんぱく質と脂質が欠かせないわけですよ」と、岡は話す。
 でき合いの加工食品を食べても意味がない。
 「新鮮で良質な食材で、自家製でなければダメなのよ。古い肉に合成調味料で味付けした物では、頭の回転は良くならないのよ。缶詰やピザも、栄養は全然無いからね。ベジタリアンがどうとか、肉が良いか悪いかという前に、加工食品を食べてはいけない。皆、都合を優先して、時間とお金と労力を節約しようとするよね。でもそれで、不自然な生活を強いられて、病気になって、余計に時間とお金と労力を使うことになるのよ」。
 食事が家庭を円満にするもう一つの理由が、腸内細菌だ。腸内細菌が精神状態に大きな影響を及ぼすという研究結果が次々に発表され、世間を賑わせている。岡自身、腸内細菌バランスを整えることで自閉症を治す、GAPS食事療法の公認療法士として活躍している。私も食事指導を受けているが、どうでも良い無駄なことに右往左往することが無くなった。
 「食事を変えずに自己啓発セミナーなどで勉強しても、効率的では無いよね。ネガティブな感情が生まれる大きな原因は、腸内細菌バランスの崩れだから。ちゃんとした食事をしないと、情緒不安定になるわけですよ。でも、そんなことは皆、昔から知っていた。『Gut Feeling』とか『腑に落ちる』と言うでしょう?Gut、つまり腸や消化器官が、人生において、いかに大切な役割を果たすか分かっていた。それが、GAPS食事療法が生まれた十数年前から注目されるようになってきたわけですよ」と岡は話す。

女性が家庭をリードする

 家族が栄養満点のご飯を食べるには、誰かが毎日自宅で食事を作ることが大切だ。夫が一番の稼ぎ手なら、妻がその役目を担う。岡自身、忙しく仕事をしながらも、自宅で栄養価の高い食事を作ることを優先している。すると、ご主人が若返って自信が付き、どんどん昇進し、夫婦間のより深い話し合いもできるようになったそうだ!
 「奥さんはあげまんでないとダメよ。その秘訣は、おいしい料理!私が早く帰宅して料理をしていると、主人はすごく嬉しそうにするのよ」と岡は言う。確かに昔、学校から帰って母が台所に立っていると、とても嬉しかったのを覚えている。
 「疲れがハ〜ッと抜けるでしょ?家庭をヒーリング・ルームにしないとね。家庭で癒されるから、次の日また、一生懸命仕事ができるわけですよ。そういう毎日にすれば、旦那さんのお給料も上がっていくし、昇格もするのよね。家庭で癒されなかったら、ガス欠のまま走り続けるポンコツの車みたいになっちゃう」。
 家庭を癒しの場にするには、女性が家庭や社会における役割を見直し、家族をリードする必要があると岡は言う。
 「現代女性は女性の良さを生きていない。企業で男に追いつけ追い越せでやるという悪い癖が抜けていないのよ。だから家でご飯も作れないほど疲れてしまうのよ。最終的にその犠牲になるのが子どもたち。子どもたちの健康の問題が増えているのも、そこが一つの原因なんですよ。今は女性が女性のまま活躍できる時代になってきているから、臨機応変に働き方を工夫すると良いわよね」。
 見直すのは、働き方だけではない。「友達とうさばらしをする体力があるなら、家に帰ってご飯を作りましょう!高級なランチをして、お金と時間を無駄にしている奥様がたくさんいますよね?それから、社会問題セミナーなどに参加しながら、子どもたちにコンビニご飯を食べさせる人がいますが、それは本末転倒です!」
 食は愛そのものだと感じる。食という基礎の上に、より大きな家族愛が育っていくのだろう。

※Makikoメソッドの詳細はウェブサイト(www.makikomethodnyc.com)を参照のこと。