TAX SPECIALIST羽山 徹の税金をはじめとしたお金の話あれこれ Vol.18 米国公的年金の種類: 遺族年金―その①

米国公的年金の種類:退職年金ーその③はwww.dailysunny.com/2015/12/02/hayama_1202/にて

問:退職年金、配偶者年金や家族年金のほかに、どのような年金がありますか?

解答:遺族年金(Survivors Benefits)があります。この年金を受給できる資格者は、まず亡くなった方の配偶者(寡婦または寡夫)、(未婚の)お子さん、扶養家族である親も含まれます。

問:具体的に有資格の配偶者(寡婦または寡夫)とは?
解答:亡くなった方と9カ月以上の婚姻関係にあった方です。その配偶者が遺族年金用のFRAに達していれば、フルの遺族年金を受け取ることができます。遺族年金のFull Retirement Age(またはFull Benefit Age:FBA)は、退職年金のFRAとは多少違いがあります。すなわち、1945〜56年に生まれた方の遺族年金のFRA(以下、FBAとする)は66才で、57年生まれの方は66才と2カ月、そして62年以降に生まれた方は、(現在のところ)全員が67才と定められています。配偶者はFBAに達する前に、繰り上げて60才から申請することができます。また、配偶者が障がい者の場合には、50歳から繰り上げて受け取り始めることもできます。それに、16歳未満のお子さんがいたり、お子さんが障がい者であったりした場合は、いつでも受給申請ができます。もちろんその場合、受取額はフルではなく、繰り上げた期間分、減額されて支給されます。

問:未婚のお子さんは、何才まで受給できるのですか?
解答:通常、18歳になるまで受け取ることができます(18歳になると支給はストップ)が、フルタイムの高校生の場合、19歳まで受け取ることも可能です。また、22歳になるまでに障がい者となってしまったお子さんは、生涯遺族年金を受け取ることも可能です。

問:日本に住んでいて扶養している親も含まれるのでしょうか?
解答:基本的には、米国確定申告書上、生活費の半分以上の面倒を見ている扶養家族として正式に申告されている場合のみ、受給の対象者となります。

問:ほかに遺族年金の受給資格者はいませんか?
解答:退職年金と同様、10年超の結婚生活の後に離婚した元配偶者(Former wife or husband)も有資格者です。やはり繰り上げて60才から申請できますし、もし本人が障がい者の場合には、50才まで繰り上げ受給申請することもできます。また、16歳未満の実子を育てている場合やお子さんが障がい者である場合は、50歳以前でも申請することができます。さらにこの場合に限って、結婚期間が10年未満でも受給が可能です。

問:退職年金と遺族年金両方受け取ることができますか?
解答:両方ではなく、どちらか多い額となります。また、家族で受け取る遺族年金の合計は、亡くなった本人の年金額の最大1・8倍までと制限されています。

問:配偶者(寡婦または寡夫)が再婚した場合はどうなるのでしょうか?
解答:60才になる前に再婚した場合には、遺族年金を受給する資格を失いますので、ご注意ください。一方、60才を過ぎて再婚した場合は、前の配偶者の遺族年金を受け取る資格が失効しませんので、ご安心ください。

問:遺族年金を受給しながら働きたい場合の注意点はありますか?
解答:退職年金と同じルールが適用されます。すなわち、FBA(遺族年金のFRA)に達した以降は、収入がいくらあっても遺族年金は減額されません。しかし、FBAになる前に受給し始めて働いて収入がある場合は、その額に応じて(=設定額を超えた金額の半分が)減額されてしまいます。自営業者の場合は「Net Profit」が対象の収入に当たります。


Financial Advisor / Tax Specialist
羽山 徹
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