Dr.クララ・リー Dr.リーのデンタル日記 毎月第1月曜日掲載 Vol.47 子どものむし歯の数は、生まれた順序や可愛らしさに関係あり?

歯科学に入学すると、学術文献の閲読は必須ですが、文面に面白味がありません。たくさんの数値や統計で的確に論じられていますが、あまりに淡々としていて読み飽きてしまいます。ですが、こうした文書や数値には全て意味があり、だからこそ歯科医の世界が向上し進展しているのです。歯科大学を卒業後も、少しでも良い歯科医になるためには、常に新しい文献や報告文書に目を通さねばなりません。長年の積み重ねで読み慣れたものの、なぜ報告文書はこんなにも味気ないのでしょう? それは記された情報が全て正確で厳密でなければならないからです。
私は歯科医になってからずっと、治療時間の合間を見つけては仕事に役立つ情報を独自に収集しています。もちろん学術文献ほど厳密な内容ではありませんが、面白い発見をしました。「幼年時代のむし歯の数は、生まれた順序に関係する」というものです。原因の断定はできないのですが、私が思うに、最初の子どもには、親が夢と希望に胸を膨らませ、細心の注意を払うので、むし歯が最小限に留まるのではないでしょうか。初めての赤ちゃんだからと、この上なく清潔な衣類、最高のヘアカット、健康食、正しい歯磨きの習慣を気に掛けることができます。親子3人までは家庭内の秩序が保てるからです。でも2人、3人と子どもが増えるにつれ、両親は疲労し、家はちらかり、食事はファストフードが増え、必ず毎晩するはずの歯磨きも疎かになってしまうのです。
自論を友人の歯科医に話したところ、彼の意見は少し異なりました。「可愛い子どもほどむし歯が多い。」そうです。(可愛いの基準は聞かずにおきました)可愛い子は黙っていてもお菓子がもらえる。欲しいと言えば、ほかの子よりたくさんもらえる。愛らしい笑顔を誰が拒めるでしょうか? 祖父母も可愛い孫はもっと甘やかします。寝る前の歯ブラシも愛くるしいつぶらな瞳に涙を浮かべ、磨きたくないと言われれば、どんな親も妥協してしまう、のだそうな。
むし歯に影響するのは生まれた順序か可愛らしさか、どちらの論理がより正しいか証明はできませんが、どちらも信ぴょう性があります。だとしたら、特に可愛いらしい子どもが長子でない場合、よっぽど頑張らない限り、むし歯なしで育つのは難しい、ということですね…。


Waterside Dental Care

Dr. クララ・リーClara Lee, DDS

ニューヨーク大学歯学部卒業。ニューヨーク大学ブルックデール病院でチーフレジデントを経て、13年以上にも及ぶ臨床経験は、一般歯科、コスメティック、インプラントを含む。インビザライン認定医。Waterside Dental Care医院長として古山医師と共に、多くの日本人患者を治療。Dentistryをこよなく愛している。
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