大塚 洋一(Gulliver USA) 車の豆知識 第51回「交通事故が起きてしまったら」

 米国では事故が多いという話をよく耳にしますが、今回は「交通事故が起きてしまったときの対処」についての知識をご紹介します。もし、交通事故が起きてしまったら、第一に「安全確保」です。セオリーでは、次に警察に連絡して、保険会社に連絡、その後レッカー業者に連絡という流れになります。さて、これからお話しすることは、あくまでこれがセオリーであるという前提のもとに読み進んでください。
 交通事故の現場処理が済んだら、あとは障害保証の手続きです。過失割合に応じて、相手方にいくら払うか、という交渉のステップです。米国では、日本のように保険会社同士で交渉をせず、基本的に当人と相手方の保険会社で直接交渉をします。英語で事故内容を説明して保険請求をしなければならないため心配ですが、日系の保険代理店の中には、この交渉を請け負ってくれるところもあります。まさに地獄に蜘蛛の糸です。もちろん、その代理店を通して保険を契約している場合に限ります。
 さて、保険の交渉は代理店に任せるとして、あとはレンタカーで車の修理が終わるまでのんびり待つか、と、話は簡単ではないのです。実は、障害保証の交渉において重要な「ポリスレポート」の内容と「現場の証拠」が過失割合を決める上で非常に大きな役割を担っています。ポリスレポートとは、警察による現場検証を元に、加害者と被害者に分けてレポートを作成したものです。しかし、どちらが加害者なのか判断が微妙なとき、警察はどうするでしょうか? ここが重要です。当然、話の整合性が高い方の言い分を優先します。ということは、英語が苦手な場合、相当なハンデキャップ…というより、勝ち目などほぼありません。では泣き寝入り!? いいえ、動かぬ証拠を押さえればよいのです。
 「現場の証拠」については写真が一番です。まず、事故現場をできるだけ多方面(8方向)から、双方の車両と周りの道路状況(車線や道路標示・標識など)が入るように撮影する。次に、接触している部分をズームで撮影する。ここで重要なのが、①お互いのナンバープレートが入るよう撮影し、②どちらから当たってきたのか、③どちらが道路交通法に違反していたのか、が明確に分かるようにしておくことです。ちなみに、警官の最優先業務は前述のセオリー通り、安全確保とニ次災害の防止です。けが人がいない場合はその次に交通整理。ということは、仮に道路の真ん中で事故が起こり、交通の妨げになっていても、車両が自走できる状態の場合、路肩に車を寄せるよう指示をされます。写真を撮る際は、間違っても高速道路など危険な場所での撮影はしないでください!繰り返しますが、第一に「安全確保」です。その後のステップは命あってこそです。
 そこでおすすめなのが、ドライブレコーダーです。最近では家電用品店で安価に手に入るようになってきました。携帯アプリでも出ていますのでぜひ一度お試しください。

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プロフィール
大塚 洋一
2004年に(株)ガリバーインターナショナル入社。対企業向けのコンサルティング営業部スーパーバイザーを経て、06年に直営店舗事業部へ転属。日米で店長を経験し、15年2月より米国代表に(NY店店長兼務)。豊富な知識と丁寧な接客に定評あり。緊急時や時間外も対応で心強い。
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