Dr. 石谷三佳 なるほど!ザ・カイロ 毎月第1月曜号掲載 VOL.79 中耳炎の治療法を考える

 昨年、坑生物質として出された処方薬の数は1億1000万以上。専門家によれば、残念なことにそのうち半分は必要がないか効果がなかったということです。

 急性中耳炎は「中耳の液体がたまり、耳感染症の症状を伴うもの」と定義されています。専門家の間ではいまだに何が急性中耳炎の最良の治療法であるかは確立されていませんが、抗生物質が今のところ一番効果的な処置とされています。
 最近の研究では、この病気に対する抗生物質の効果のなさが明らかになってきています。New England Journal of Medicineは、「子どものうち8人に1人しか耳感染症用の抗生物質で効果を得ることができず、偽薬を与えられた子どもの大半は抗生物質を与えられた子どもと同じ速さで改善していった」ということと、「偽薬を与えられた子どものうち81%が1週間以内に回復した」ことを報告しています。
 しかし最も重要なのは、この研究の主な著者であるJ. Owen Hendley医師が、カイロプラクティック医やその他のホリスティックヘルスケアの専門家が長年気にかけてきた処方薬の副作用や抗生物質が効かなくなることに関して同様の懸念を抱いていると打ち明けたことです。同医師は医療関係者に向けて、耳の感染症のための抗生物質を処方するときは慎重にすることと、自然治癒することも多いので薬を投与する前は48~72時間待った方がよいと薦めました。
 The Journal of the American Medical Association(JAMA)も「アモキシシリンは役に立たない」ことと、「耳の感染症のために薬を飲んでいた子どもは再び液が溜まって再発する恐れが2~6倍もある」ということを明らかにしました。それにもかかわらずアモキシシリンは耳感染症の一番の処方薬とされています。またJAMAは耳の鼓膜にチューブを付ける処置は、およそ58%しか必要ではないということも明らかにしました。
カイロプラクティックで
中耳炎を回復
 カイロプラクティックヘルスケアは医術の1つで、私たちの体を構成する11兆個の細胞全てを、神経系がコントロールし影響を及ぼしているという科学的原理に基づいています。「カイロプラクティック」という言葉は「手で行なう」というギリシャ語「cheiro and praktikos」から来ています。カイロプラクティックは神経系への支障を和らげることで回復のプロセスを促進します。
 私たちの文化は、私たちや子どもたちがヘルスケアによってどんな影響を受けているかについての従来の考え方を見直さなければならないところまで来ています。既存の規範の代わりに保存的療法を用い、栄養、運動、そしてカイロプラクティックケアといった、身体が本来持つ自然治癒能力を生かす予防について考えるときなのではないでしょうか。


Dr. 石谷三佳
石谷ヘルスセンター院長。パーマーカイロプラクティック大学院卒後、ハーバード大学医学部専門課程終了。米国、米国小児、ニュージャージー、日本カイロプラクティック協会会員も務め、2008年には「Chiropractor of the Year」を受賞。寄稿著者に“Neck Pain…
You Don’t Want It, You Don’t Need It”がある。

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