大塚 洋一(Gulliver USA) 車の豆知識 第69回 自動車保険と交渉

自動車保険と交渉

 万が一、自動車事故が起きてしまった場合、どのように保険申請をしたらよいかご存知ですか? 米国では、相手の保険会社に被害者自身が保険請求することが当たり前です。しかも、あからさまに出し渋る保険会社もありますので、保険会社の主張が全て正しいと思わずに、交渉する覚悟で臨むことが重要です。

 保険代理店の中には、この交渉をしてくれるサービスを(善意で)提供しているところもあります。ここで重要なのが、ただ間に入って日本語でやりとりをしてくれる「通訳」ではなく、過去の経験から保険会社の主張が誤っていると感じたら「交渉」をしてくれるというところに大きな差があります。実際にあった事例をご紹介いたします。
 Aさんは停車中に相手(Bさん)に衝突される「もらい事故」に遭いました。一般的な理解は、自分(Aさん)の保険会社が相手(Bさん)の保険会社への請求業務を代行してくれるというものですが、これには大きな落とし穴が潜んでいる場合があります。
 「一般的な」としているのは、今回のように完全に相手の過失による場合でも、ご自身の保険を使って修理するからです。ご自身の保険を使う場合は、保険会社は「当事者」になりますので、相手と相手の保険会社の特定もご自身の保険会社が代行することになります。
 しかしながら、ご自身の保険を使うということは、例え後で相手側から修理代が戻ってきたとしても、自身の保険履歴に事故の履歴が残ることになります。ということは、来年の保険更新時の経歴は「事故FREE」ではなくなってしまいます。これによって保険料が上がるかどうかまでは分かりかねますが、少なくとも不利なことには変わりありません。
 そこで、これを防ぐためにご自身の保険を使わないという「一般的ではない」手もあります。この場合、手間はかかりますが、ご自身で相手の保険会社の特定と請求を行うことになります。ちなみに、先に述べた「(善意で)保険請求のお手伝いと交渉をしてくれる代理店」は、当事者間にも保険契約間にも属さない代理店ですので、いわゆる第三者としての立場になります。第三者ではできる手伝いにも制限があります。相手側(保険会社含め)も第三者の問い合わせに答える義務がないわけですから、話をはぐらかされてしまうことも考えられます。さらに、第三者からのポリスレポート請求は、ポリス側が受け付けません。
 このお手伝いは保険代理店の業務ではなく厚意です。大多数の代理店ではこのような手伝いのサービスはなく、解決速度が速い「ご自身の保険を使う」という選択肢を説明されます(これがあまりに多いので前述の「一般的」という認識ができあがっているというのが正しい解釈です)。
 代理店の力を借りずにこれらの業務を委託される場合には、ご自身のCollision保険(日本で言う車両保険)を使うという選択肢があります。免責額(加入時設定)は一時自己負担となります。この免責額は、相手保険から修理代金を返還された後に精算されます。
 万が一、相手が無保険であったり、保険詐欺を行っていた場合は、最悪のケース、修理代の返還がされないこともあります。これは、相手が100%悪いにもかかわらず、当て逃げ(相手方不明)などと同じく「請求不可事案」となり、ご自身のクルマを修理するためにはご自身のCollision保険または自己負担で修理する他ありません。

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大塚 洋一
2004年に(株)ガリバーインターナショナル入社。対企業向けのコンサルティング営業部スーパーバイザーを経て、06年に直営店舗事業部へ転属。日米で店長を経験し、15年2月より米国代表に(NY店店長兼務)。豊富な知識と丁寧な接客に定評あり。緊急時や時間外も対応で心強い。
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