何歳から学校に入れる? 就学前の幼児教育(3)

 
 前号まで2回に分けて、
ニューヨーク市における未就学児のための教育施設や、日米の制度の違いと未就学児教育施設の種類、学校探しのためのリソースを紹介した。今回はプリスクールからキンダーへの4〜5歳児の移行時期について説明する。

ニューヨークの義務教育開始年齢

 義務教育の開始年齢は州ごとに違う。同じ州内でも自治体が独自に義務教育年齢を設定している場合もある(LEA=Local Education Agencies Decide)。義務教育開始年齢が違うため、キンダー入学が義務教育になる州と、1年生からが義務教育になる州に分かれる。日本人子弟が多いトライステート3州の状況は次の通り。

▽ニューヨーク州とニューヨーク市

 州の義務教育開始は6歳。年齢のカットオフ(入学を決める誕生日の区切り)は12月1日で、それまでに6歳の誕生日を迎えた子どもが、その年の9月から始まる1年生からが義務教育になる。キンダーは義務教育ではないが、ニューヨーク州はLEAオプションがある。ニューヨーク市もその1つで、5歳のキンダーからを義務教育に定めている。
 ニューヨーク市では、1月1日から12月31日までに5歳になる子どもの公立キンダーからが義務教育。私立校の場合は、各校独自にカットオフを定めており、早いところでは6月以降に5歳の誕生日を迎える子どもは、翌年の9月入学になる傾向がある。つまり、9月のキンダー開始時点で公立と私立合わせると4歳児(公立キンダー入学で5歳の誕生日が9月以降の子ども)から6歳児と幅がでる。

 
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▽ニュージャージー州

 州の義務教育開始は6歳。年齢カットオフは10月1日。義務教育は1年生から。10月2日以降に6歳の誕生日を迎える子どもの入学は翌年9月になるが、ニューヨーク州同様、LEAオプションがあり地域により差がある。
 ニューヨーク、ニュージャージー州共に5歳でのキンダー入学は義務教育ではないが、小学校入学はキンダーの学年から通学させるのが通常だ。

▽コネティカット州

 義務教育は5歳のキンダーから。カットオフは米国で一番遅い1月1日。

入学を遅らせるレッドシャツ

 学年で最年少になることを避け、入学をあえて1年遅らせることをレッドシャツ(Redshirt)と呼ぶ。ニューヨーク市とコネティカット州はカットオフが1日違いだが、ニューヨーク市では原則 学年を遅らせての入学は許可しない。反対に、コネティカット州では家庭と学校区が相談の上でフレキシブルに対応している。

ニューヨーク州の公立プリKに入るべきか?

 4歳児の公立プリKはオプオションであり、 必ず入学させなければならないわけではないが、1年間無料で毎日学校に通えることの経済的なメリットは大きい。
 プリKは公立小学校に併設されているもの、市と提携した幼児教育施設で開催されるクラス、市が直接運営するプリKセンターなどさまざまな形態で運営されている。将来通学予定の小学校に併設されているプリKへの通学を除いては、3歳からのプリスクール、4歳の公立プリK、5歳のキンダーと、毎年通学する場所が変わることになり、子どもの性格によってはこのような環境の変化を避けたいと思う保護者もいる。
 加えてプリスクールの教育方針で、2〜3年の継続したプログラムによる教育効果をゴールにしている場合もある。入学時に面接や子どものプレイデート観察で選抜を行う私立校などに高額な授業料を支払い、途中で辞めてしまうことに意味があるのかどうかなど、キンダーまでの道のりをどのようにしたいかも考慮しつつ、2、3歳児の学校選びを考えたい。

 
Asian Boy writing in library room school
 

日本語バイリンガル教育と未就学教育

 日本では保育園か幼稚園の選択になるが、米国では5歳のキンダー入学までにどのような教育を子どもに受けさせるかは保護者の選択となる。バイリンガル教育のための学校選びは、国際結婚で片親が日本語、もう片方の親が英語か第3外国語か、日本人が両親でも永住家庭、短期滞在など、それぞれの家庭でゴールも変わる。しかし最も重要なのは子どもの性格や個性だろう。フルタイムのプリスクール、日本語学校と英語の学校のダブルスクール、週末補習クラス、公立プリKまで各種習い事で過ごすなど選択の幅は広い。どのように通学させればバイリンガルに効果的かという正解はないが、ニューヨーク市公立キンダー入学ではある時点で一定の英語レベルが求められることは頭に留めておいてほしい。

 

ニューヨーク市の公立キンダー受験

 ニューヨーク市の公立キンダーのギフテッドプログラムとハンター小学校の受験は英語のみとなる(ギフテッドプログラムの入試は数カ国語で実施されるが、日本語はない)。両方ともテストは5歳の誕生日を迎える年の1、2月に実施され、英語で質問を聞き取り、その指示に従うことが求められる。読み書きの能力は必要ない。そのため受験を考える家庭は英語環境に慣れるために、あえて英語の学校へ通学させる選択もある。市教育局のウェブサイトではギフテッドプログラム入試で使われた過去問題を公開しており(上の表を参照)、各種問題集も市販されているので、事前にどの程度の英語力が求められるかを知ることができる。

(文・河原その子)