飯島真由美 弁護士 Legal Cafe Vol.36 家庭裁判所での 接近禁止令の手続

 ニューヨークで家庭内暴力(DV)の被害を受けているというご相談を受けたり、または思いもよらずDVの加害者として訴えられたというお話も聞きます。今回は家庭裁判所での接近禁止令(Order of Protection)の手続きについてご説明致します。

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①接近禁止令の申請
 家庭裁判所で接近禁止令が申請できるケースは、相手が家族の一員、夫婦か元夫婦、子どものいるカップル(未婚も可)、あるいは他の親密な関係にある場合に限ります。このような関係にない場合は、警察にご相談ください。
 申請はニューヨーク市内の各地区にある家庭裁判所で行います。まず裁判所内のヘルプセンター(Petition Room)に行き、係員からもらったフォームにどんな被害を受けているかを記入し、それを元に係員が申立書を作成します。その後、裁判官が申立書を承認すれば、テンポラリーの接近禁止令が出されます。それと同時に出廷の日が設定されます。申立人は裁判所の書類を相手に送達する必要があります(裁判所のルールに従います)。

②接近禁止令の種類
 テンポラリーの接近禁止令には、申立人(Petitioner)の家、職場、子どもや子どもの学校に近寄らないこと、加害者が家から出て行くようにとの命令、または申立人にハラスメントを行わないようになどの命令が記述されます。また必要であれば、養育費の申し立ても一緒に出来ます。

③裁判所への出廷
 裁判所には申立人と相手(Respondent)の両者が出廷する必要がありますが、収入の規定以下であれば、無料の弁護士を付けることができます。出廷の際に両者が接近禁止令に同意すれば、手続きはそこで終了します。同意がない場合はヒアリングが設定されますが、実際に行われるまでに数回出廷が必要な場合があります。ヒアリングでは相手に起こったことについて質問し、相手にも質問されます。その他証拠を提示し、証人がいればそのときに来てもらいます。両者の質問終了後、裁判官が接近禁止令が必要かどうかを判断します。

 
 

今月のお店
Once Upon a Tart
135 Sullivan St. (SoHo)
ソーホーに長く店を構えるベーカリー。
タルトの他、スコーンやクッキーなどの焼き菓子も。

 
 

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飯島真由美 弁護士事務所
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NY州認定弁護士。法政大学文学部、NY市立大学ロースクール卒業。みずほ銀行コンプライアンス部門を経て独立。2010年に飯島真由美弁護士事務所を設立。家庭法、訴訟法、移民法など幅広い分野で活躍中。趣味はカフェ巡り。