DR.高田洋平 FUNCPHYSIOの気になる体のはなし Vol.10 肩関節の運動連鎖

肩関節の運動連鎖
 肩の関節は体で一番可動域が広いです。よって最も脱臼しやすく、痛めやすいといわれます。肩関節は上腕骨頭と肩甲骨で構成されますが、機能的には体の多くの部位との相互関係や連結があり、非常に複雑な構造で成り立っています。

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鎖のようにつながる肩関節
 「運動連鎖」という言葉がありますが、これはある関節の動きが隣接する他の関節へ影響を及ぼすという意味です。鎖で例えると分かりやすいです。鎖の先端からひねるとある一定の間隔で動きが生じ、その動きで隣の鎖が動き出し、また同じ一定の間隔で次へと動きが波及していきます。体の動きにもそのような関係があります。肩関節は、この運動連鎖によって大きく影響される関節の1つです。
 鎖がもつれると通常の動きがうまく伝わらなくなり、無理にその動きを継続させて行うとどこかで破綻が生じます。同じように体のどこかで制限があると、肩にも本来の効率的な動きではなく、体の制限を埋め合わせる余分な動きが生じてしまい、肩への負荷の原因になりす。

肩の動きには全身の機能が影響
 解剖学の観点から、構造的に肩と直接的なつながりがある部分は肩甲骨と鎖骨と肘です。間接的には肋骨、胸骨、背骨(頚椎、胸椎、腰椎)とも関連性があり、背骨の土台となる骨盤と体幹も肩の機能に影響します。骨盤と体幹を上手く使うには下半身の安定性と筋力が必要です。そのため、頭上の棚から物を取る「リーチング」などの単純な動作でも、効率的に行う場合は肩関節、肘、手首の正しい動きを意識するのはもちろん、鎖骨の動き、肋骨の広がり、背骨の反りやねじれも整え、肩甲骨と体幹、下半身までも安定させることが必要になってきます。

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 肩関節の治療は痛みのある肩だけに限らず、運動連鎖のある肩甲骨と鎖骨、肘、ひいては体全体の構造も考慮し、1人ひとりに必要な治療を進め、機能改善に務めなければいけません。
 FuncPhysioでは肩関節に痛みがある場合、運動連鎖を考慮した診察と治療を実践しています。肩の痛みに悩んでいる方は、ぜひご相談ください。

藤井よし
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カリフォルニア大学(サンフランシスコ校)理学療法学博士課程修了。米国でも数少ない米国整形徒手療法学会(AAOMPT)のフェローシップ修了。顎関節などを専門とする。
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