第81回 Paname ミッドタウンイースト/フレンチ

パリの家庭の味をどうぞ

 真っ赤なオーニング、アールヌーボー調の店名タイポグラフィー、赤白格子柄のテーブルクロス…。ミッドタウンイーストの「Paname(パナム)French Restaurant」は、花の都はパリにあるビストロさながらの雰囲気。店名のパナムとは1900年から30年代までのパリの歓楽街をイメージした俗語。この日はオーナーシェフのブルナード・ロスさんが直々に笑顔で迎えてくれた。
 パリ生まれのロスさんは、故郷パリの実家も料理店で、この店のレシピは全てシェフだった両親直伝の「本場」の味だ。40年前にニューヨークに来て以来、フレンチレストランやカフェを経営。この店を始めたのは8年前だ。以来、メニューの考案や調理はもちろん、経理や店内の修繕まで全てこなしている。食材も自身で買い出しに行き、手にとって鮮度や質を見極めるほどのこだわりようだ。

ブイヤベース

ブイヤベース

 前菜として注文したのは「ベビーオクトパスと白インゲン豆の煮物(14ドル)」。ベビーオクトパスを丸ごと一口で頬張ると、独特の香りが鼻腔に一気に広がる。ロスさんによると、時間をかけて煮ることで臭みが消え、「これがタコ?」と驚くほど柔らかく仕上がるのだという。白インゲン豆は口の中でスーッと溶け、あっという間にお皿は空っぽに。
 迷わず注文したいのは、南仏マルセイユ名物の「ブイヤベース(28ドル)」。白身魚やムール貝、ハマグリ、エビ、イカなど旬の魚介類をたっぷり入れ、トマトや香草を加えて整えた、燃えるようなオレンジ色のスープだ。下準備すること3日間。絶妙のタイミングで火から下ろさなければ生まれないという繊細な味。お約束のアイオリソース(ガーリック、卵黄、オリーブオイルを乳化させたソース)がトッピングされたバゲットと一緒にいただくことで、スープ自体のコクが深まっていくから不思議だ。
 席数60とこぢんまりとした印象だが、数十人規模のグループでの来客も少なくない。貸し切りパーティーも受け付けている。

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Paname French Restaurant
www.panamenyc.com
1068 2nd Ave. (bet. 56th & 57th Sts.)
212-207-3737