温情で自宅の強制売却を延期 テロでPTSD発症の元刑事に銀行

 【5日付ニューヨーク・デイリー・ニュース】米銀行大手ウェルズファーゴは5日、2001年の9.11同時多発テロによる心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されたニューヨーク市警察(NYPD)元刑事に対し、自宅の強制売却と競売を延期し、発表した。
 クイーンズ区アストリア在住の元刑事、ジョージ・ベンダーさんはテロ発生後、遺体や遺品を探すため、崩壊したビル周辺のがれきなどが集められたスタテン島フレッシュキルズの埋め立て地で勤務。市の死体安置所やグラウンドゼロでも働いた。その結果精神的消耗がはなはだしく、極度のPTSDを引き起こし退職。引きこもりで収入もなくなり、住宅ローンの支払いが滞った。
 未払いローンの弁済に充てるため、ベンダーさんの自宅は今月7日に強制的に競売にかけられる予定だったが、報道でベンダーさんへの注目が集まったことから同行は5日、競売の延期を発表した。ベンダーさんは「もう一度チャンスを与えてくれた(同行に)感謝したい」と述べた。刑事基金協会など、多くの慈善団体がベンダーさんへの支援を申し出ている。