弁護士スティーブン・エプステインの知ってて安心! 法律指南 Vol. 48 ◆不動産の購入

 経験豊富な弁護士なしで、コープやコンドミニアムの購入や売却をすることは賢明ではありません。弁護士は、契約条項の交渉、アパートの購入に際し発生し得るさまざまなトラブルから守ります。
 不動産ブローカー、住宅ローン希望者と金融機関を仲介する「モーゲージブローカー」、金融機関や協同組合など、取引の関係者全てに対応し、潤滑油のように取引をスムーズに進めます。いつでもコミュニケーションが取れ、必要なときに相談できる弁護士を雇うことが重要となります。
 住宅ローンを組んでアパートを購入する場合は、金融機関やモーゲージブローカーと相談しながら、購入したいアパートの価格交渉を行います。購入契約書に署名する前に、申請と承認の手続きを経てから、融資金額と、毎月の支払い金額を知ることになります。
 売主と買主が価格に合意すると、売主側の弁護士が契約書を作成し、買主側の弁護士に契約書を渡します。変更などが必要な場合は、買主側の弁護士が売主側の弁護士に通知します。
 契約条件が合意に達すれば、売主と買主が契約書に署名します。契約書への署名だけでは買主に所有権は与えられません。契約書はアパートの価格や場所など、売却条件を明示するものです。
 実際にアパートの受け渡しが行われ、買主がアパートを所有する日が「決済日」と呼ばれます。決済日も契約書に記載されています。

手付金に注意

 一般的に、契約書に署名後、買主は売主に手付金を支払います。手付金は、契約の証拠、解約の代償などの意味があり、通常はアパート購入金額の10%です。
 この手付金は売主側の弁護士が預かり、「決済日」に売却が完了すると同時に売主側に払い込まれます。手付金は特定の状況で買主に返金される場合もありますが、売却が完了していない場合は必ずしも返金されるとは限りません。
 弁護士と慎重に相談し、アパートの売却が完了していない場合はどのような状況において払い戻しが可能か、または返金されないかを明確に把握するようにしてください。

 
 

Steven W. Epstein スティーブン・エプステイン弁護士
ブランディーズ大学、ニューヨーク・ロースクール卒。18歳から法律事務所で働き始め、2003年まで弁護士組合員として幅広い分野の訴訟を担当。04年に独立し、「Steven W. Epstein & Assosiates法律事務所」を設立した。取扱い業務は、民事訴訟、会社法(設立、契約)、家庭法(離婚)、刑事訴訟など、多岐に渡る。また、NY市行政裁判所にて非常勤審判官も務めている。

 
 

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