多様化目的の入試改正は「逆差別」 アジア系団体がNY市を提訴

 【13日付ウォール・ストリート・ジャーナル】高度な教育を行うニューヨーク市の「スペシャライズド高校」8校の多様化を目的にした入学基準改正はアジア系の生徒への逆差別に当たるとして、アジア系米国人の公民権擁護団体および保護者、教員らは13日、ビル・デブラシオ市長とリチャー・カランザ市教育局長を相手取り、基準改正の廃止を求めてマンハッタン区の連邦地裁に提訴した。
 現在、同区スタイベサント高校など8校に通う生徒の62%がアジア系。市長らは今年6月、同8校の人種的多様性を高めるため、来年秋学期から定員の20%を、試験の成績が合格基準に満たない生徒に充てる計画を発表していた。
 原告らは計画について、アジア系生徒の比率が高い特定の高校を意図的に閉め出すと指摘。アジア人生徒の平等な保護を受ける権利を侵害していると主張した。保護者の1人は「全ての生徒に公平な機会が与えられるべき。計画は公平な結果とは違う」と訴えた。
 提訴を受け、教育局の広報担当は「計画はスペシャライズド高校への門戸を広げるもの。市の多様性を反映した方が、より豊かな教育を受けられる」と弁解した。市長はたった1回の試験で合否を決めるのは、黒人とヒスパニック系の生徒に対し不公平で、障壁になっていると指摘してきた。試験で本領を発揮できない「試験恐怖症」の優秀な生徒にもチャンスを与えるとして、保護者や生徒の多くは同計画を支持している。
 市の統計によると現在、市では入試が必要な高校の生徒の40%が低所得層。全米平均は75%だ。