3年拘留、自殺の男性遺族と和解 NY市、独房監禁トラウマに

 【25日付WNYC】ニューヨーク市司法当局は24日、窃盗容疑で逮捕され、裁判も有罪判決も受けないままライカーズ島刑務所に3年間拘留され、出所後に22歳で自殺したブロンクス区のアフリカ系米国人、カリーフ・ブラウダ―さんの遺族に、330万ドル(約3億6155万円)の和解金支払うことで合意したと発表した。
 和解を受け、遺族の弁護士はNPRの取材に対し「遺族は刑務所制度や若年の被告への待遇について改革が進むことを願っている」と話した。ブラウダ―さんは、16歳だった2010年、かばんを盗んだとして逮捕。被害者が出国したため訴追が進まず、31回出廷し、判事は8人変わったが、審理が行われることはなかった。家族は3000ドル(約33万円)の保釈金が払えず、司法取引の申し出も拒否し、断固として無実を主張した。
 13年に容疑が取り下げられ釈放されたが、3年間の拘留期間のうち約2年間は独房で過ごしたといい、精神的苦痛に苦しんだ末、15年に母親の自宅で首吊り自殺した。
 ブラウダ―さんは出所後、市および市警察(NYPD)、市矯正局、同区検事局を提訴。ニューヨーカー誌のインタビューで、刑務所内での看守や他の受刑者らによる暴力や、不衛生な環境、非人道的な待遇、膨大な事件を抱え遅延が絶えない同区検事局の実態を告白した。報道後、市では16歳、17歳の独房拘留が禁止になるなど、制度改革に貢献した。
 ブラウダーさんは同誌の取材に「大金をもらっても元の自分には戻れない。幸せを奪われた」と話していた。