国際スリ集団、地下鉄で暗躍 都市を転々、「荒稼ぎ」

 【27日付ニューヨークタイムズ】ニューヨーク市警察(NYPD)は、複数の国際スリ団が地下鉄で暗躍しているとして警戒を呼びかけている。
 「風のように現れ、風のように去っていく」と話すのは、NYPD交通課のエドワード・デラトーレ巡査部長。昨年9月にマンハッタン区の地下鉄6番線の車内で女性のハンドバッグから財布を抜き取ったとして逮捕された2人組はコロンビアの出身。手口は1人が被害者の気を引き、もう1人が盗むという古典的なものだ。外国人で市内での犯罪歴も確認できなかったが、捜査を進めていくうちに、地下鉄車両内での他9件のスリ事件に関わっていたことが判明した。
 昨年8月、USオープンの観戦客で混雑するクイーンズ区の地下鉄7番線ではチリからのグループが「荒稼ぎ」。同28日、地下鉄4番線の車内で男性から財布を盗んだとしてビクター・ディアズ・ヒメネス容疑者(33)ら3人が逮捕された。同容疑者はクレジットカード3枚と携帯電話4台を所持。「(都市を転々とし)1カ所に滞在するのは2週間」と明かした。カンザス州の警察から重窃盗となりすまし詐欺の疑いで逮捕状も出ていた。
 スリの被害はこの2組だけで18件。地元のスリにこうした海外勢が加わり昨年は地下鉄内の重窃盗事件が急増。マンハッタン区で前年比15%増の754件が、ブルックリン区でも4%増の474件が報告されている。