タカザワ アキュパンクチャー

つらい症状の治療から「美顔鍼」まで

頭痛、頚肩背腰痛、胃弱、生理痛、生理不順、不妊、円形脱毛症や、原因不明のさまざまな「愁訴」に効果がある「はり」。最近では美顔にも効くと注目されています。日米で鍼灸治療を20年以上行ってきたタカザワ アキュパンクチャーの院長、髙澤ウェルチ直美さんに、日本と米国のはり治療の違いや、新しい活用分野について解説してもらった。

WHOが世界基準定める

 はり治療は2500年以上前に古代中国で始まりました。その後、朝鮮半島を経由し1600年ほど前に日本に伝来しました。それ以来、日本の気候風土に合わせて独自の発展を遂げています。
 はり治療は、治療に効果があるツボの「地図」が体に張り巡らされているとみなして、主にそのツボを使って行います。長い歴史の中で研究が重ねられ、国によってツボの数や位置が違うといった状況が続く中、臨床試験がどの国でも同じ条件で行われることを目指し2008年、世界保健機関(WHO)が世界標準を定めました。これは日本、韓国、中国の研究者や臨床家が協力してまとめ上げたものです。
 一方で20世紀になってから、古典的なツボという概念のない「トリガーポイント鍼治療」が米国で考案されました。これは主に筋肉の痛みを取ることに特化したはり治療です。当院では両方の良い点を取り入れ、独自の治療スタイルを築いています。

治療の前後に両手首の脈状をチェックする。伝統的な診察法の1つ

日本のはり治療の特徴

 ツボの位置は、体型の違いや体の使い方のクセなどにより1人ひとり微妙にずれています。また、同じ患者で同じ症状に対する治療でも、効くツボはいつも同じとは限りません。そうした個人差やその時々の体の状態にきめ細かく注意を払うのが、日本で行われているはり治療の特徴です。
 国によっては触診せず、ツボの「地図」をイメージしながら理論的にツボを選び、はりを刺すところもありますが、日本では治療ごとに注意深く触診し、生きたツボをピンポイントで捉えることで、より細いはりでの治療を可能にしています。
 加えて、鍼通電器具など、効きそうなものはどんどん工夫を凝らして活用するのも日本の特徴です。細いはりをトントンと指先で叩いて体に刺入するときに、はりを支えるために用いる鍼管と呼ばれる細い筒があるのですが、これを発明したのは江戸時代の日本人です。当時は竹でできていました。この鍼管を使うことにより、細いはりを狙ったツボにピンポイントで刺入する精度が上がり痛みが減りました。

腰痛患者の腰部関節可動域をチェック。現代の診察法の1つ

米国のはり教育

 米国で鍼灸師免許を取得するために、ニューヨーク市にある、はりの大学院を卒業したのですが、最も驚いたことは、日本の鍼灸師なら鍼灸だけで治療する症状でも、漢方薬が必要だと教えている点でした。日本では鍼灸師の免許では漢方薬を処方できないので、鍼灸だけで治療する技術が歴史的に発展したのだろうと思います。生理痛などはり治療の方が楽になるのが早い症状も多いので、こちらの人にぜひ知っていただきたいと思います。

はりの新しい活用法

 近年、歌手のマドンナが美顔にはり治療を用いたことなどがきっかけとなり、「美顔鍼」が知られるようになりました。顔は心身の疲労がたまりやすい部位です。当院でははつらつとした健康的な笑顔がよみがえる独自のはりフェイシャルを施術しています。また、バレエやスポーツのパフォーマンス向上にもはり治療は盛んに用いられています。つらい症状をとるだけでなく、楽しい毎日を応援するはり治療の力が注目されています。

術前(左)と術後。むくんだ顔と首が引き締まり、毛細血管の拡張による肌の赤みが引いている

髙澤ウェルチ直美 M.S., L.Ac.
石川県出身。日本とニューヨーク州の鍼灸師免許を持つ。
元(公)全日本鍼灸学会常任理事。元世界鍼灸学会連合会執行理事
(The World Federation of Acupuncture and
Moxibustion Societie)

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