大塚 洋一(Gulliver USA) 車の豆知識 第82回 車の売りどき

 引っ越しなどで生活環境が変わるこの時期、車の売却を考えている人も多いと思います。車種にかかわらず「売りどき」といわれるのはどのような時期を指すのでしょうか。
 これを知るには、「需要と供給」が鍵となります。資本主義社会では、需要が供給を上回ったときに価値が上がり、供給が需要を上回ったときに価値が下がります。例えば、週末やホリデーシーズンのパッケージツアーやホテルの宿泊料金、航空運賃は、平日に比べて割高になっています。これは、大多数の人はカレンダー通りに休みを取って旅行に出かけるので、サービスの供給量に対して需要が上回っているからです。

 「そんなことは当たり前だ!」という声が聞こえてきそうですが、1年中で車の需要が高まる時期はいつかご存知でしょうか? そうです。赴任・帰任などで生活環境が変わる4月なのです。「それも当たり前だ!」とお叱りを受けそうですが、実はその4月よりも3月の方が高く売却できる可能性が高いのです。
 なぜかというと、現在所有する車を売却する先は次の車の持ち主ではなく、中古車ディーラーだからなのです。しかし、中古車ディーラーに買い取られた車はそのまま売りに出されるわけではなく、点検や修理、清掃など、いくつかの工程を経て店頭に並ぶのです。
 もうお分かりですね。中古車ディーラーは、この工程を4月の小売需要期までに終えておかなければいけないので、3月、それも中旬ごろまでが「売りどきのピーク」なのです。年に何回かピークはありますが、それは今から数カ月から半年後となります。さらに中古車の相場は階段状に下がるばかりで、株式相場のように高騰下落を繰り返すことはありません。なぜなら会社は経営の努力で改善していきますが、車は経年とともに質が落ちる一方だからです。たとえ時期が良かったとしても、下がった価格が上がることは基本的にないのです。
 車を売るならお早めに。アイドリング時期を少なくすることが車を高く売るコツです。

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