憩いの緑地、売却に反対 保護団体がNY市を提訴

 ニューヨーク市がマンハッタン区ノリータにあるエリザベス・ストリート・ガーデンを売却し、低所得高齢者向け集合住宅を建設する計画について、市が緑地喪失による影響を厳密に調査しないまま進めようとしているとして、同ガーデンを保護する2団体は5日、計画の中止を求めて市を提訴した。
 同ガーデンと同名の非営利団体(ESG)とフレンズ・オブ・エリザベス・ストリート・ガーデンがそれぞれ訴状を提出した。
 市住宅保存開発局(HPD)は、同ガーデンに123世帯が入居できる7階建てのエレベーター付き集合住宅「ヘブン・グリーン」を2021年までに建設する計画。現在のガーデンの3分の1の広さに当たる約6600平方フィート(約613平方メートル)は公共の緑地として残されるというが、訴えでは「十分でない」と主張している。ESGの代表はニューヨークタイムズの取材に「低所得者向け住宅は必要だが、地域の緑地を犠牲にするべきでない」と訴えている。
 同ガーデンはスプリング通りとプリンス通りに挟まれた半エーカー(約2023平方メートル)の緑地。石製の飾りつぼやライオンの彫刻が飾られ、住民の憩いの場としてはもちろん、ファッションショーや撮影にも使われてきた。ESGによると毎年10万人以上が訪れる。
 同紙によると、低所得者向け住宅への入居を待つ高齢者は市内に約20万人。