条件不備でも里親に認定 NY市児童当局、ずさんな調査

 ニューヨーク市児童サービス局(ACS)が2017年から昨年に子どもの里親として認定した世帯のうち、約8割で里親が満たすべき条件の書類がそろっていないことが分かった。市会計監査局が6日、監査結果を発表した。ACSが里親候補の家庭に対する調査を怠っていると指摘している。
 ニューヨーク州法では、すべての里親候補の家庭の居住者の身元調査および健康診断、また、職員による事前の家庭訪問に加え、子どもとの関わりがなかった里親は30時間以上の、子どもとの関わりがあった里親には15時間の訓練を受けることを義務付け。また、ソーシャルワーカーは、必要な設備の有無、ベッドの数、清潔度など、受け入れ家庭の居住環境の検査を実施しなければならない。
 会計監査局は今回、2017、18会計年度にACSが認定した里親から無作為に110世帯の記録を調査。81%に当たる89世帯でこれらの要件が満たされていなかった。
 記録に不備があった場合でも、ACSから警告を受ける前であれば、里親は484日間までは子どもを預かり続けることができる。監査によれば、記録に不備があったにもかかわらず、ACSが証明書の年次更新を行っていたケースも7件あった。ACSの手続き上の不備により、虐待などの被害に遭った子どもがいたかどうかは明らかにされなかった。
 ACSが年間8400人の子どもを5150の里親に預けるために費やされている税金は11億ドル(約1219億円)に上る。