9・11テロの粉じん、前立腺がんに関係か マウントサイナイが新研究発表

 マウントサイナイ医科大学の研究チームは20日、2001年の9.11同時多発テロにより崩壊した国際貿易センター(WTC)から出た有害な粉じんが、前立腺がんの発症と関係しているとする報告書を、医学誌「モレキュラー・キャンサー・リサーチ」で発表した。ウォール・ストリート・ジャーナルが同日、報じた。
 同研究では、9.11で最初に現場に駆けつけ対応した救助隊や救急隊、消防隊員、警官などの「ファーストレスポンダー(FR)」で、後に前立腺がんを罹患した男性15人と、有害な粉じんにさらされていない別の15人のグループとを、同じ条件の下で比較調査した。腫瘍内の遺伝子を調べたところ、FRのグループには、「ヘルパーT細胞17」と呼ばれる炎症性細胞の増加がみられた。保管されていた9.11の粉じんにネズミを1日間さらした実験でも同様に同細胞の増加が確認された。
 報告書の共同執筆者ウイリアム・オー氏は同紙の取材に「粉じんの毒素にさらされることにより、前立腺内の炎症の連鎖が活発化し、より侵襲性の強いがんを引き起こす誘因となった可能性がある」と述べた。
 WTCヘルスプログラムの3月末のデータによると、9.11のFRの9486人ががんと診断されたが、そのうち前立腺がんは2087人で2番目に多かった。

illuminating9_11

タグ :