薬物過剰摂取死、8年ぶり減少 イーストハーレムでは急増

 ニューヨーク市保健精神衛生局(DOH)は8月26日、昨年の薬物過剰摂取(オーバードーズ)による死者数は1444人で、2010年以来初めて減ったと発表した。一方で、貧困層の住民が多いマンハッタン区イーストハーレムなどでは、過剰摂取死が急増している。
 昨年の死者数は、17年の1482人から微減。うち60%が合成オピオイド、フェンタニルの過剰摂取だった。行政区別ではブロンクス区が最も多く391人が死亡。10万人当たりの死者数で表すオーバードーズ率も34.1と市内で最高だった。死者数が次に多かったのは、114人のスタテン島。オーバードーズ率は31.5と、17年から18ポイント増えていた。
 オーバードーズ率が最も高かった地域はマンハッタン区イーストハーレム(56.1)。17年の38.4からほぼ倍増した。次いでブロンクス区クロトナ(49.5)、ハンツポイント=モットヘブン(49.2)が高かった。
 今月3日付のWNYCによると、こうした地域では主にラテン系男性による、コカインやフェンタニルの乱用が多い。同区モンテフィオーレ病院で薬物治療に当たるシャディ・ナーイ医師によると、家庭で投与できる治療薬の処方には、保険会社による事前承認が必要。健康保険を持たない貧困層は医療施設に出向かなければならないという。
 ニューヨーク州議会は薬物依存の治療薬に関し、事前承認を不必要とする法案を可決した。

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