飯島真由美 弁護士 Legal Cafe Vol.45 離婚協議書の内容について

 離婚の際には一般的に協議書(Stipulation of Settlement)を作成しますが、今回はその内容の中からいくつかのポイントについてご説明します。

Spousal Maintenance
(配偶者サポート)
 以前は「alimony(アリモニー)」と言いましたが、現在は「Spousal Maintenance(スポーザルメンテナンス)」と名称が変わっています。2016年の法律の改正により、配偶者への支払金額のガイドラインが設定されたため、現在はその金額に従うことが多くなっています。しかし、お互いの同意があればサポート額を変更することも可能です。また、収入がガイドラインの金額を大きく超える場合は、他の方法で決定することもあります。支払期間は、例えば結婚年数が15年以下の場合はその年数の15〜30%となります。詳細は裁判所の資料を参照してください。
http://ww2.nycourts.gov/divorce/Maintenance
ChildSupportTools.shtml

Equitable Distribution(財産分与)
 ニューヨーク州では法律上、財産は夫婦間で半分に分割するとは決まっておらず、なるべく公平に分割するようにと定められています。ただし、結婚生活が20年を超える夫婦の場合は、財産を2分割するのが一般的です。財産分割には不動産や銀行口座の他、個人名義の401KやIRAなどの口座も対象になります。結婚前から存在する資産は一般的に別資産となりますが、結婚前の資産も共有財産となり得ます。詳細は専門家に質問してください。

子どもについての決め事
 養育費については州のガイドラインがありますので、裁判所の資料またはChild Support Serviceのウェブサイトを参照してください。
www.childsupport.ny.gov/DCSE/HomePage

 しかし、配偶者サポート同様、両者間の協議で金額を設定することも可能です。また、最近は「parenting plan(ペアレンティングプラン)」と呼ばれますが、双方の保護者が子どもといつ一緒に過ごすかのスケジュールを決めることも大切です。その他、共同親権の場合は、教育方針などで対立する場合の対処の仕方についてもあらかじめ決めておく必要があります。対処法としては、教育方針は学校の先生、医療については医師に相談する、あるいはどちらか一方に決定権を与えるなどがあります。

今月のお店
301 West Broadway(bet. Grand & Canal Sts.)
136 E. 13th St.(bet. 3rd & 4th Aves.)
162 5th Ave., Brooklyn,
www.everymanespresso.com
その名の通り、エスプレッソ専門店ですが、ケメックスやエアロプレス(抽出)で丁寧に淹れたコーヒーとラテが評判。店内もおしゃれです。


飯島真由美 弁護士事務所
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NY州認定弁護士。法政大学文学部、NY市立大学ロースクール卒業。みずほ銀行コンプライアンス部門を経て独立。2010年に飯島真由美弁護士事務所を設立。家庭法、訴訟法、移民法など幅広い分野で活躍中。趣味はカフェ巡り。