Dr. 石谷三佳 なるほど!ザ・カイロ 毎月第1月曜号掲載 VOL.94 体のあちこちの筋肉が痛くなる線維筋痛症

体のあちこちの筋肉が痛くなる線維筋痛症

 線維筋痛症という病名を聞いたことがありますか?
 線維筋痛症(せんいきんつうしょう、Fibromyalgia)は全身の広い範囲にわたって痛みを感じる病気です。
 米国人の約600万人がこの病気を患っているそうです。米国における有病率の調査では、女性で3.4%、男性は0.5%、人口の2%といわれ、女性に圧倒的に多い病気です。日本では、厚生労働省の調査で、人口の1.7%という結果が出ています。
 線維筋痛症は、1990年代に入ってから米国などの諸外国で徐々に注目されるようになりました。日本では2003年になって、病気の原因解明のための研究班が厚生労働省の中に結成されました。
 一般の人が線維筋痛症という病名を初めて耳にしたのは、日本テレビのアナウンサーが線維筋痛症を苦に自殺したというニュースだったかもしれません。それくらいに社会的にも認知されていない病気ですし、研究もまだまだ発展途上といえます。

 レントゲン写真、CTスキャンあるいはMRIでもこの病気特有の異常所見はなく、線維筋痛症が診断できる特別な検査はありません。この病気の原因やメカニズムは研究が始められたばかりでよく分かっていません。診断がなかなかつきにくく、医師もよく分からない…というのが現状です。何らかの免疫異常が関係しているのではないかと考えられていますが、いまだに決定的な治療方法はなく、痛みの緩和などの対処療法的な処置が行われています。
 このように原因も効果的な治療も分からないことから、周囲の理解を得ることが難しいため、患者は精神的につらい状況に陥ることも少なくありません。検査で異常がないため、病院を転々とすることも珍しくないようです。

 次週は、線維筋痛症の主な症状と対処療法について解説します。

Dr. 石谷三佳
石谷ヘルスセンター院長。パーマーカイロプラクティック大学院卒後、ハーバード大学医学部専門課程終了。米国、米国小児、ニュージャージー、日本カイロプラクティック協会会員も務め、2008年には「Chiropractor of the Year」を受賞。寄稿著者に“Neck Pain…
You Don’t Want It, You Don’t Need It”がある。

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