人種差別事件頻発、大学に批判集中 クオモ知事、警備の強化を指示



 ニューヨーク州北部、シラキュース大学のキャンパスで今月7日から2週間の間に人種差別的事件が10件以上発生。一部の学生が大学側の対応が遅いと批難。有色人種の学生の安全確保を求めて、校舎の一部を占拠するなど抗議運動を展開している。アンドリュー・クオモ知事は19日、同大学のケン・サイバラッド総長の姿勢に不信感を表明。監視に特化した警備員の配置を指示した。ウォール・ストリート・ジャーナルが同日、報じた。

 シラキュース大学の学生が発行する無料紙「デイリーオレンジ」によると、同大学では7日以降、学生寮の外に積もった雪にナチスドイツの象徴、鉤十字(スワスティカ)が書かれた他、校内のトイレにも黒人やアジア人学生を中傷し差別する落書きが発見された。また、同大学の学生が、課外活動中の黒人女子生徒に人種差別的な言葉を浴びせた疑いが持たれている。18日には、図書館で勉強する学生のアイフォーンにワイファイで共有できるエアドロップ機能を使い、白人至上主義をうたう声明文が送りつけられる事件も発生。連邦捜査局(FBI)と州警察が捜査を進めている。声明文を受け取った数人の生徒は、怖がって登校を見合わせているという。
 
 同大学は19日、独自に編成した警備員の巡回を強化し、社交および課外活動も全て中止すると発表した。
 
 抗議運動を行う生徒の1人は、「大学はメンツを保つため一連の事件を隠蔽した」と批判を強めている。