行き場失う高齢者 高齢者向け集合住宅売却で

 マンハッタン区ミッドタウンにある自立して生活できる高齢者のための集合住宅が突然売却されることになり、入居する高齢者が立ち退きを迫られている。31人の入居者はいずれも70代から90代。行くあてもなくパニック状態に陥っている。ニューヨークタイムズが23日、報じた。
 ガブリエル・ワグナーさん(91)は、同居していた双子の姉が2018年に死亡したため、昨年4月、同区49丁目と10番街にある14階建ての自立生活型集合住宅リバービューに入居した。ミュリエル・フィッシャーさん(86)は、家賃811ドルのレントコントロールアパートを引き払い、孫の家に近いリバービューに18年に入居。それぞれが同住宅での生活に満足していたが、昨年12月3日、リバービューを運営する非営利団体から「2020年の最初の数カ月間以内に全員退去するように」との文書が届いた。運営団体は約2年前にリバービューをオープンしたが経営に失敗、市場価格でビルを売却したという。
 市では、高齢者向けの低価格の住宅が不足。市の2016年のデータによると、市内在住の低所得の高齢者、約20万人が連邦補助金住宅への入居待ちの状態。ミドルクラスの高齢者も同様の問題を抱えている。