保釈債務保証業者が廃業の危機 改正法施行の影響、業種替えや規模縮小も

 ニューヨーク州で、軽罪などで起訴された被告に対する保釈金制度が廃止されたことで、手数料を取って保釈金の支払いを肩代わりする保釈債務保証業者が廃業に追い込まれている。ウォール・ストリート・ジャーナルが26日、報じた。
 1日から施行となった保釈制度改正法の刑事裁判規定により、同州の裁判所は、軽罪および非暴力的な重罪で起訴された公判前の被告に保釈金を科すことができなくなった。
 保釈債務保証業者のベルナルド=ゴールドスタイン&クイン・エージェンシーの社長、ジェイ・ベルナルドさんは、「2019年に十数人いた従業員の約半数を既に解雇したが、新法に基づいて保釈を求める犯罪者の数が減ると、(会社の規模を)さらに縮小せざるを得なくなる」と訴えた。
 ベルナルドさんは、改正法阻止のために、全米の同業者と共に10万ドル(約1089万円)以上を費やしロビー活動を行ったという。
 ベルナルドさんによると、ニューヨーク州には現在、正規の保釈債務保証業者が212社ある。米保釈連盟の事務局長、ジェフ・クレイトンさんによると、ニューヨーク州の保釈債務保証業者が19年に保障した債務は約5億ドル(約546億円)。
 クレイトンさんは、「今後、同州の保釈債務保証業者の収益は半減する可能性が高い。その多くは廃業するだろう」と予測する。業種替えや規模の縮小など対応策を模索する保釈債務保証業者も多いという。