ビザ発行停止で企業が人材不足を懸念 「米国の技術開発の危機」

 トランプ大統領が22日、就労ビザの新規発行を、6月24日から12月31日までの間、一時的に停止する大統領令に署名したことを受け、多くの企業が海外からの優秀な人材を雇用できなくなることや、従業員が不足する事態を懸念している。ウォール・ストリート・ジャーナルが23日、報じた。
 新規発行停止の対象となるのは、高度な技能を持つ専門職に発行されるH-1Bビザ、季節労働者のためのH-2Bビザ、研修生や教師などに発行されるJ-1ビザ、企業内転勤者向けのL1ビザなど。
 新型コロナウイルスの治療研究を行う医療関係者、食品加工業従事者は例外。米国の経済回復の促進に必要とされる労働者のための追加の免除も、検討されている。すでに米国にいるビザ保有者、有効なビザが発行された国外のビザ保有者は、影響されない。
 トランプ政権幹部は、年末までに52万5000人の移民の入国が阻止されると見込み、現在失業中の米国人に約50万件の雇用が戻ると予測。一方で、非党派の移民政策研究所は、年末まで入国が阻止されるのは約32万5000人と推定している。
 シアトルに拠点を置くIT企業、「アウトリーチ」のエンジニアチームの約15%はH-1Bビザで働いている。代表のマニー・メディナさんは、「今後、技術者の雇用を埋めることが困難になる」と話している。
 また、移民保護団体「Fwd.us」のドット・シュルテ会長も「米国の技術開発の危機だ」と批判。グーグルのCEO、サンダー・ピチャイさんは「失望した。私たちは移民と共に立ち上がり、全ての人のチャンスを広げるために努力する」と述べた。

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