連載373 山田順の「週刊:未来地図」ロックダウンは効果がなかったのか? なぜ世界は 「コロナ放置政策」に転換し、株価は高騰したのか?(中)

ドイツでは政府内でロックダウン批判が

 大手メデイアは伝えないが、オルトメディアでは、ロックダウンが無意味だったという話が数多く流れている。そのひとつに、ドイツではそうした報告書が握りつぶされたという話がある。
 ドイツでは、5月初めに内務省が専門家たちを集め、政府のコロナ対策を評定する報告書をつくらせたという。この報告書は、コロナと毎年流行するインフルエンザなどの感染症を比較して、コロナが危険であると誇張されすぎたために、都市封鎖のような誤った政策が行われたと結論づけていたという。
 たとえば、「コロナで死ぬ人は、もともとはほかの持病などで死ぬ人々であり、コロナはそれ自体だけで死ぬ人がほとんどいない重篤性の低い病気だった」「コロナに関しては、国家が最大のフェイクニュースの発生源である」
「政府は、都市閉鎖すべきでないと指摘した政府内の専門家の忠告を無視して都市閉鎖を行なった」「都市閉鎖の悪しき副作用が今後何年も続く」などと、指摘していたという。
 こうした内容に驚いたドイツ政府は、この報告書を公表しないことに決めた。しかし、政府内部からリークされ、ドイツの大手メディアが二の足を踏むなか、オルトメディアだけが報道した。そして、リークした内務省の専門家は更迭されたというのだ。
 この話の信憑性はともかく、ロックダウンに対する懐疑論を裏付けるような公的な調査結果も出るようになった。

スウェーデンと比較しても変わりない

 たとえば、英国のイースト・アングリア大学(UEA)の研究チームは、英国やドイツ、フランスを含む欧州30カ国を対象に、各国のコロナ対策の効果について分析して、その内容を公開した。
 それによると、休校や大規模集会の禁止、一部のサービス業の営業停止(レストランやバー、レジャー施設など)は、感染拡大の抑制に効果があった。しかし、外出禁止や、生活必需品を扱う店舗以外の営業停止は、感染者数や死亡者数の抑制に顕著な効果は認められなかったという。また、公共の場所でのマスク着用の義務化にも、特段の効果は確認されなかったというのだ。
 つまり、ロックダウンは、一部を除いてそれほど効果がなかった。しかも、外出禁止の日数が増えるほど、感染者数は増加したという。
 実際のところ、ロックダウンの効果は、欧州に限って見れば、それを行わなかったスウェーデンと比べてみるとかなりはっきりする。次は、人口100万人当たりの死亡率(人数)の欧州諸国の比較だが、これを見れば、ロックダウンを行ったイタリアや英国はスウェーデンと大して変わらない。
 イタリア560、スペイン580、英国596、フランス447、オランダ357、ドイツ105、スウェーデン462(ちなみにアメリカは339、日本は7、中国は3である)
 スウェーデンが行なったのは、50人以上の集会の禁止、飲食店での混雑禁止、高齢者施設への訪問の禁止などで、いわゆるロックダウン(封鎖)は行われなかった。ソーシャルディスタンスを取ることは奨励されたが、保育園や小中学校は通常どおり授業が行われ、飲食店も普段通り営業が続けられた。
 これによって、スウェーデンは「集団免疫」を目指すとされ、5月中には感染者が3、4割に達するとされた。ところが、最近行われたストックホルムでの抗体検査の結果によると、抗体保有者は7.3%。ロックダウンをしたロンドンより下回っている。

「ニューノーマル」(新しい日常)の意味

 人口100万人当たりの死亡者数では、日本や中国など、アジア諸国の死亡率が欧米諸国と比べると極端に低い。二桁も違っている。なぜ、こんなことになったのか?
 その理由は、いまのところ解明されていない。ただ、この死亡率の低さもロックダウンの成果とは言いがたい。
 治療薬もワクチンもない状況で、感染拡大を防ぐには、ロックダウンがもっとも効果がある方法と、これまでは信じられてきた。そのため各国は、経済を犠牲にしてまで、ロックダウンを行なった。発生源の中国、武漢を見習ったと言っていいだろう。たしかに、武漢はこれで成功した。
 それなのになぜ、欧米は武漢ほどの成果を得られていないのか。これは、本当に謎だ。
 いずれにせよ、いったんロックダウンをしてしまうと、再び感染者が増えて第2の波がやって来たとき、またロックダウンをしなければならなくなる。感染者数を減らすには、現時点でも、これしか方法がないと信じられているからだ。
 しかし、実際のところ、感染者数がゼロになるということがありえるだろうか? しばらくの間はありえるとしても、永遠にゼロなどということは、ウイルスが自然消滅しない限りありえない。
 となると、ロックダウンの効果に疑問が出てきた以上、もう、各国は2度とロックダウンしないのではないか。政府は、いまだにコロナへの警戒を喚起しているが、本当のところでは、爆発的に感染者と死者が増えない限り、もうロックダウンは行わないと、素面かでは決めているのではないか。「コロナ放置政策」への転換である。
 それが、「ニューノーマル」(新しい日常)であり、「ウイズコロナ」(コロナとの共生)ということになる。
(つづく)

【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
【読者のみなさまへ】本メルマガに対する問い合わせ、ご意見、ご要望は、私のメールアドレスまでお寄せください。 → junpay0801@gmail.com

最新のニュース一覧はこちら

タグ :  , , ,