米国勢調査、人種分類の統計に危うさ 自分の人種を把握していない場合も

 多民族国家の米国において、国勢調査では人種分類の統計を測りにくいと専門家が指摘する。ウォール・ストリート・ジャーナルが24日、報じた。
 ミネソタ大学人種学専門のキャロライン・リーブラー准教授によると、2000年と2010年の国勢調査で、多人種から単一人種に変更した人およびその反対に変更した人が全体の6.1%、980万人もいた。しかし、同分析は2000年の国勢調査に回答者のうち57.5%の統計であるため、実際には2300万人以上いる可能性があるという。
 さらに、ピュー研究所が2010年〜12年、国勢調査と米国コミュニティ調査の回答から分析した結果によると、1300万人が祖先に2つ以上の人種が混じっていると回答。しかし、自分自身を「多民族」と回答したのはわずか790万人だった。
 自分の人種を正確に把握していない場合もある。PBSのテレビ番組「Finding Your Loots」で白人の俳優、タイ・バーレルさんはアフリカ系奴隷の子孫であることが分かった。ホストの黒人、ハーバード大学のヘンリー・ルイス・ゲーツ教授も、ヨーロッパ人の血が50%混じっていることが判明して、「白人の血がここまで濃いとは知らなかった」と驚きの声を上げた。
 2020年の国勢調査での人種に関する質問の選択肢は、白人、黒人またはアフリカ系アメリカ人、アメリカ系インディアンまたはアラスカ先住民、アジア系または太平洋諸島住民、そして「その他何らかの人種」。「なぜこのような質問があるのか?人種で人を判別しているのが米国社会の現実だからだ」とリーブラー准教授は肩をすくめる。

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