ブロンクス区連邦地方検事局のダーセル・クラーク検事長(DA)は1日、夜間外出禁止令違反の疑いで6月4日のデモ参加者312人に対して発行された召喚状を棄却すると発表した。ゴッサミストが同日、報じた。
同DAは「住民は社会的、人種的な不公平に平和的に抗議しただけ。夜間外出禁止令違反の容疑では起訴しない」とコメント。「コロナ感染予防のためにも、温情をもって柔軟に対応する」と続けた。
当該デモは同区モットへブン地区で実施され、デモ隊とニューヨーク市警察(NYPD)が衝突。警察官が警棒などで参加者を殴打し、午後8時の夜間外出禁止令に違反した疑いで312人を逮捕し、召喚状を発行した。ニューヨーク州の刑法によると、逮捕された抗議者は最大500ドル(約5万3000円)の罰金または3ヶ月の禁錮刑に直面する可能性があった。NYPDによると、逮捕されたうちの半数近くは黒人だった。6月1日のデモでは略奪や窃盗が起きており、その被疑者については引き続き起訴手続きを進める意向だ。
DAが召喚状を棄却するのは異例。著名な人権派弁護士で多数のデモ参加者の弁護を担当しているマーティン・ストラ—さんは、「クラーク氏は踏み込んだ判断を行った。他の区のDAも見習ってほしい」と評価した。一方、デブラシオ市長は7月、夜間外出禁止令の容疑を却下するのは「一方的過ぎる」と警告している。今回の棄却についてはコメントの求めに応じていないという。