連載707  岸田政権で「絶望未来」は深刻化 富裕層に続き若い世代まで続々と日本脱出 (上)

連載707  岸田政権で「絶望未来」は深刻化
富裕層に続き若い世代まで続々と日本脱出 (上)

(この記事の初出は1月11日)

 弱毒化したオミクロン株の感染拡大など恐れる必要がないのに、過剰反応しすぎの岸田政権。政権が発足して3カ月が経ったというのに、いまだになんの仕事もしていな
い。
「これでは日本は完全にオワコンになる」という見方が強まっている。すでに、人口減少による「絶望未来」は目前にあり、これを止めない限り日本は途上国に転落する。
 多くの富裕層がこの国を出ているが、これからは有為な若い世代までこぞって出ていくだろう。もう、この流れは止められそうもない。

 

岸田首相の年頭会見は中身カラッポ

 「大胆に挑戦し、新たな時代を切りひらくための1年としたい」
 1月3日、岸田文雄首相は年頭の記者会見で、こう述べて、日本再生への意欲を示した。しかし、その後は、当面の課題としてコロナ対策に全力を傾けると言うだけで、肝心な「新しい資本主義」については、具体的に踏み込まなかった。踏み込まなかったというより、踏み込めなかったと言ったほうがいいだろう。
 なぜなら、それは単なる「思いつき」「言葉遊び」に過ぎず、具体的な中身などないからだ。
 この会見で首相が語った「新しい資本主義」への取り組みは、次の3点である。

(1)戦後の創業期に次ぐ日本の第2創業期を実現するため、本年をスタートアップ創出元年として5カ年計画を設定し、強力に取り組む。すべての挑戦者を官民挙げて全面的にサポートする。
(2)デジタル田園都市国家構想を実現するため、地方における官民のデジタル投資を大胆に増加させるデジタル投資倍増に取り組む。
(3)気候変動問題への対応としてクリーンエネルギー戦略を議論する会議に私自身が出席し、カーボンニュートラルに向けて関係各省で総力を挙げて取り組むよう指示することにした。

これを聞いて、この先の日本に希望を持てる人はいるだろうか? これのどこが「新しい」のだろうか? 私は、いままで以上に絶望的になった。

中身がないから奈良時代の改革を持ち出した

 「『新しい資本主義』の実現に向けて」と題するA4・20ページの政府内で配られた内部文書がある。村井英樹首相補佐官が、閣内等で認識を共有するために作成された文書で、すでに一部メディアでその内容が公にされている。
 この文書の冒頭1ページ目には、昨年10月8日の岸田首相の所信表明演説が写真とともに紹介され、まずこう述べられている。
 「新自由主義的な政策は富めるものと、富まざるものとの深刻な分断を生んだ~新しい資本主義経済を模索する動きが始まっています」
 つまり、新自由主義を否定するところから「新しい資本主義」が始まるらしく、次に「資本主義の歴史」が解説され、「新自由主義とは」という項目が続いている。
 まるで、中高生向けのテキストのようだが、驚くのは、「新しい資本主義」を8世紀の奈良時代の改革になぞらえていることだ。
 「我々の先祖は、疫病を契機に経済を前向きに転換させた!」 「8世紀の天然痘の流行→『公地公民制』から『墾田永年私財法』の制定へ」などと解説されているので、当時の天然痘がいまの新型コロナであり、「墾田永年私財法」が「新しい資本主義」と言いたいようだ。
 「墾田永年私財法」というのは、新しく開墾した耕地を自分の土地として認めるというものだが、これと「新しい資本主義」がなぜ結びつくのか皆目わからない。「新しい資本主義」の中身がないから、こんな昔の話を持ち出したとしか思えない。

(つづく)

 

この続きは2月17日(木)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 

※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

 

 

 

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