連載1023 サラリーマン社会崩壊! 「人材流出国」「移民輸出国」になったニッポン (下)

連載1023 サラリーマン社会崩壊!
「人材流出国」「移民輸出国」になったニッポン (下)

(この記事の初出は2023年5月23日)

 

東京の高度人材の報酬は上海よりも低い

 かつての若者は、「憧れ」「見聞」「学び」のために海外に出たが、時代は大きく変わり、いまは「稼ぐ」ために海外に出る。つまり、日本は「人材流出国」「移民輸出国」になったのである。
 スキルのない若者はもちろんのこと、IT系のシステムエンジニアやウェブエンジニアを中心とした「高度専門人材」とされる人間たちも、積極的に海外に出て行っている。
 というのも、こうした人材にとって、日本企業で働く意味がまったくないからだ。なぜなら、こうした人材にとっての賃金、報酬は海外のほうが圧倒的に高いからだ。
 アメリカの転職情報サイト「levels fyi」の報酬レポート「Pay Report 2022」では、ソフトウエアエンジニアの年間報酬の中央値が、世界の主要都市別に示されている。
 それによると、サンフランシスコは23.4万ドル。1ドル=140円換算で約3200万円。これが東京だと6.9万ドルに過ぎない。シンガポールでも9.0万ドル、香港でも8.5万ドル、上海でも8.6万ドルと東京より高い。

ジョブホッピングを認めない日本

 現在のグローバルエコノミー、デジタルエコノミーでは、スキルがあれば人材の国籍は問われない。また、日本以外のほとんどの国は、報酬が成果主義で成果に見合った報酬が保証されている。つまり、実力主義だ。
 したがって、労働市場は流動的であり、人材は成功報酬によって常に「ジョブホッピング」(転職)する。
 ところが、いまだに日本企業の多くが、一括採用、年功賃金、終身雇用を維持している。そのため、日本では短期間で転職を繰り返す「ジョブホッパー」は、忍耐力がないなどという理由で敬遠される。
 しかし、ジョブホッピングはキャリアアップのため、報酬アップを目指すためには当然の行動である。これは各国の勤続平均年数をみれば、一目瞭然だ。
「国際労働比較2022」によると、日本は11.9年だが、アメリカは4.1年、韓国は6.0年、イギリスは8.1年と日本に比べて短い。
 また、「1年未満の勤続年数別雇用者割合」は、日本が8.5%だが、韓国は30.3%、アメリカは22.2%、カナダは15.2%、ドイツは14.2%、フランスは14.1%で、日本は異常に低い。
 つまり、日本の労働市場は“ガラパゴス”であり、キャリアアップと同時に給与も上がり、より豊かな生活が送れるという暮らしができないことになっている。

(つづく)

この続きは6月19日(月)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 

※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

 

 

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