自然史博物館、人骨展示を停止 先住民族、奴隷など1万2000柱所蔵

 

自然史博物館、人骨展示を停止


先住民族、奴隷など1万2000柱所蔵

 

マンハッタンのアフリカ人墓地で2012年に行われた発掘。人骨のほとんどが植民地時代の奴隷のもので、展示の対象とすることが問題視されている。

 

アメリカ自然史博物館は人骨に関し、展示を撤去するなど取り扱い方針を変更する。ニューヨーク・タイムズが15日、報じた。

同博物館は人骨1万2000柱を所蔵。その一部を現在館内12カ所で展示しているが、必要性や倫理面で疑問の声が上がっていた。今後は人骨の展示を取りやめる他、保管施設も改善。人類学の専門家による調査研究も強化する。ショーン・ディケーター館長は関係者に宛てた電子メールの中で「何を所蔵するかどのように入手したかを明らかにしたい」としている。

問題視されているのは先住民族の2200柱。30年以上前に返還を義務付ける連邦法が成立した。これまでに同博物館が返還したのは1000柱。専門職員を増やして、返還を早める。さらに1903年にマンハッタン区インウッドの墳墓から掘り出した奴隷の5柱。ディケーター氏は「地元コミュニティーとともに尊厳ある措置を取りたい」としている。

また「医学的コレクション」とされる400柱は、引き取り手のないニューヨーカーの遺体で、1940年代後半にコロンビア大学などに献体された後、同博物館が入手した。人類の進化を研究するという名目だったが、「優生学」とみなされ、白人至上主義に根ざした「科学的人種差別」と批判されている。違法との見方もある。氏名が明らかなものもあり、親族を探す作業を始める予定だ。

 

アメリカ自然史博物館内で有名なシロナガスクジラの模型。人類学やゲノミクス分野での収集で傑出している。(Photo:Kumiko Ito)


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