暖冬で雪不足も、このまま春に。 そして、10万年に1度の猛暑の夏がやって来る! (中)

暖冬で雪不足も、このまま春に。
そして、10万年に1度の猛暑の夏がやって来る! (中)

(この記事の初出は2024年1月30日)

スキー場業者を行政が支援すべきではない

 能登地震の被災地は、これまで何度か雪に見舞われ、その度に被害の拡大が懸念された。しかし、平年以上の積雪量にはならず、雪ではなく雨の場合も多かった。
 もちろん、被災地では雪は望んでいない。しかし、スキー場のあるところは、これまで雪を切望してきた。
「1月中に降ってくれればハイシーズンの2月に盛り返せる」と期待を寄せていたところも多かった。しかしいま、その夢はほぼついえた。
 もうすぐ2月。いまさら雪が降ったとしても、それを根雪として下地をつくりゲレンデを整備しなければならない。となると、もう手遅れだからだ。
 そのことを踏まえて、こんな意見が出ている。
「いまさら雪が少ないからと行政に支援を求めるのはおかしい。温暖化による雪不足は何年も前から警告されていて、いまに始まったことではない。なのに、今年は違うとスキー場を続けてきた業者は、業態を変えていくべきではなかろうか。行政もまた、温暖化を見据えた地域対策をしていくべきだ」

雪がない冬季五輪が常態化してしまった

 雪が少ないといえば、このことで窮地に立たされているのが、冬季五輪である。
 2010年のバンクーバー(カナダ)では、バンクーバー周辺の山の積雪量が不足し、スキー、スノボなど競技は開催ができないのではないかと言われた。そのため、バンクーバー市はヘリを大量に出動させて、谷間などから雪をかき集めて会場へ運んだ。その結果、なんとか開催にこぎつけた。
 2014年のソチ(ロシア)も雪不足は深刻だった。ロシア政府は国の威信にかけて人工雪を大量につくり、なんとかしのいだ。
 2022年の北京(中国)は、なんと雪の90%を人工雪でまかなった。しかし、雪をつくるためには大量の水が必要で、その点を「SDGs(持続可能)な五輪ではないではないか」と批判された。中国政府は、降雪を起こそうとミサイルを55発も発射したが、降ったのは1日だけ。ほとんど効果がなかった
 こうした経緯から、札幌は一時、2026年、2030年の冬季五輪の有力候補だったが、市民の反対と東京五輪の汚職発覚で頓挫した。札幌なら、欧州各国の山岳地に比べ、十分な降雪が望めるからだ。

今世紀末、冬季五輪ができるのは札幌だけ

 カナダのウォータールー大学のダニエル・スコット教授(地理・環境管理学)が率いる国際チームによる研究結果が、一昨年、話題を呼んだ。
 それによると、世界の冬季五輪開催候補都市は、今世紀末までに2.0~4.4℃の気温上昇に見舞われる見込みで、その結果、「GHG(温室効果化ガス)の排出量を地球規模で劇的に削減しないかぎり、冬季五輪を安全かつ現実的に開催できるのは今世紀末までに、過去21回の開催地のうち日本の札幌だけとなる」というのだ。
 まさか、そんなバカなとは思ったが、シミュレーションは正確だ。温暖化がいまのペースで進めば、今世紀末には研究グループの予測の最大値である4.4℃どころか、5.0℃を超えてしまう可能性すらある。
 冬季五輪は、2026年はイタリアのミラノ・コルティナダンペッツォに決まっている。その次の2030年はスウェーデンのストックホルムとその周辺が最有力候補だ。
 はたして、この2開催地に十分な雪が降るだろうか?

 

(つづく)

 

この続きは2月28日(水)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 

※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

 

 

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