嘱託殺人、医師に懲役18年

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共同通信
京都地裁=2023年12月

 京都市で2019年、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者林優里さん=当時(51)=からの依頼に応じ殺害したとして、嘱託殺人罪などに問われた医師大久保愉一被告(45)の裁判員裁判で、京都地裁は5日、懲役18年の判決を言い渡した。検察側は「安楽死が許容され得る最低限の条件も満たしておらず、社会的相当性はない」と主張。別の殺人罪と合わせ、懲役23年を求刑していた。

 起訴状などによると、元医師山本直樹被告(46)=同罪などで実刑判決を受け控訴=と共謀し19年11月30日、林さんの自宅マンションで嘱託を受け胃ろうから薬物を注入。搬送先の病院で死亡させたとしている。

 公判で検察側は「老人や死にたいと願う患者は積極的に殺害する対象」という自らの思想を実践するため、医療知識を悪用したと強調。ビジネスとして入念に事件を計画し、病状の詳細を把握しないまま短時間で殺害に及んだと非難した。

 弁護側は、林さんの願いを実現しており、嘱託殺人罪適用は自己決定権を保障した憲法に違反するとして無罪を訴えていた。